なぜ金鉱株が金のリターンに及ばないのか (パート1) - 14 October 2011
過去5年間に、金は金鉱株のリターン1%増に対し2%増となっています。
なぜ、金鉱株は金のリターンに劣っているのでしょうか。とブリオンボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュは問いかけています。
「金鉱株は、金価格の動向と密接であるべきなのですが...。なぜかこのリターンは金のものより大きく劣っています。」というコメントが6月にあるフォーラムで語られています。
「金価格への十分なエクスポージャーが保てるという考えから、保有ポートフォーリオを2011年2月にブラックロックの金口座へ切り替えました。その後、金価格は30%急騰しましたが、投資したファンドの価値は同レベルです。」という意見もこのフォーラムへ寄せられています。
2011年2月に、英国証券会社TD Waterhouseを利用する一般投資家によって、ブラックロックのGold & Generalのファンドが、税金の優遇措置がある個人年金であるISAで、過去3年間最も利用されていることが明らかになっています。ブラックロックのウェブサイトでも述べられているように、今春までの12年間で、このGold & Generalファンドは、ISAの投資商品の中で、最も高いパフォーマンスを誇っているのです。
TD Waterhouseは、「弊社顧客は、ユーロ圏のソブリンリスク、そしてインフレの懸念が高まる中で、安全で確実な投資先を望んでいるのです。」と語っています。
金はその安全で確実な投資先であることを証明しました。しかし、金鉱株はそうではなかったようです。2月から6ヶ月間に、ユーロ圏の財政危機は高まり、英国のインフレは過去20年間でも高いレベルである前年比5%となりました。そして、この間金価格はドル建てで29%上げ、ポンド建てで27%上げました。それに対し、金関連株においては、米国で上場されている金鉱会社株式指数を表すXAU指数では16%下げているのです。

「このギャップは狭まることでしょう。このようなギャップは、過去にも常に狭まっています。今回は、通常以上に長期間、また広いギャップが存在はしているのですが。」と52億ドルの金鉱株ファンドのマネージャーであるEvy Hambro氏は、9月にコメントしています。
それでは、このキャップが存在している期間とそのキャップはどのようなものなのでしょうか。
「上昇する市場においては、歴史的に金鉱株はそのリターンにおいては金を勝っています。」と英国の別の金ファンドは、その営業用カタログにおいて解説しています。これは、金の強気市場においては、金鉱会社の費用は、固定、またはほぼ固定されている中、売り上げは増加するためです。そのため、金価格に対し2対1もしくは3対1のリバレッジを見ることができると、金鉱株についての記事では言及されています。
しかし、これは正しいものではありません。下記は今年9月30日までの金と異なる8つの金鉱株と金価格リターンの差をパーセンテージポイントで表したものです。
| 9月30日まで | 1年間 | 3年間 | 5年間 | 10年間 | 15年間 | |
| XAU金鉱株指数 | -18 | -29 | +59 | -129 | -198 | -260 |
| HUI指数 | -7 | -19 | +100 | -98 | +257 | -100 |
| Barrick (ABX) | -14 | -23 | +35 | -108 | -212 | -207 |
| Newmont (NEM) | +3 | -17 | +69 | -121 | -251 | -267 |
| US Global fund | -10 | -24 | +154 | -51 | +545 | +327 |
| Tocqueville fund | -18 | -27 | +195 | -62 | +403 | n/a |
| Van Eck fund | -15 | -26 | +163 | -55 | +474 | 0 |
| ブラックロックファンド* | -30 | -30 | -31 | -111 | +275 | +184 |
*金関連のポンド建て評価額
出典元:ブリオンボールト・ブルームバーグ・ヤフー
下記の3つの点が見出されます。
- 第一に、金鉱株もしくはその指数のリターンは、必ずしも同じではないということです。
- 金鉱会社、もしくはファンドによっては、期待されたリターンを上げています。もし、1996年もしくは2001年以前に購入していれば、金を十分に超えるリターンを得ることができています。
- 3年前の2008年10月は、金鉱株を破格の値段で購入することができました。そのため、この時期に購入していれば、大規模な金鉱株であっても金のリターンを十分に上回るものとなっています。
このような、金を上回るリターンを得る機会というのは非常に稀です。例えば、フィラデルフィア取引所で取引されている金および銀鉱株のXAU指数の場合、1983年に取引が開始されて以来、リーマンショックが起こった2008年10月のみが、金を上回るリターンを得る機会でした。
AMEX金鉱株指数(HUI)においては、過去120ヶ月の中では、12ヶ月のみが金に上回るリターンとなっています。英国のブラックロックファンドのGold & Generalにおいては、過去9年間においては、4ヶ月が金を上回るものとなっています。UK Global Investorにおいては、過去6年間では11ヶ月のみ、Tocqueville Gold Fundにおいては、過去8年間では20ヶ月のみとなっています。
そのため、金鉱株が金に劣るリターンを出すのは、例外的なものではなく日常化しています。金鉱株のみでなく、最も大規模な金鉱株であるBarrickとNewmontや最も高いパフォーマンスを行うファンドにおいても、2011年現在まで、過去1年、そして5年のパフォーマンスでは、金に劣っていることが分ります。
2006年10月からは、実際に金の1%の動きに対し、HUI指数の金鉱会社の株価は0.4%の上げとなっています。2011年においては、金1%の上げに対し、XAU指数は0.2%の上げのみとなっています。
ここにおける問いは、なぜ金鉱株が金に劣っているのかではなく、なぜ金が常に金鉱株のリターンを上回っているのかというべきでしょう。2006年から金鉱株1%の上げに対し、2%以上のリターンの増加という、リバレッジの切り替わりはなぜ起こったのでしょうか。この非日常的な現象は、根底に金の強気市場が存在するということなのでしょうか。
この続き(パート2)は来週お届けします。
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弊社現職に至る前には、一般投資家へ金融投資アドバイスを提供するロンドンでも有数な出版会社「Fleet Street Publication」の編集者を務め、2003年から2008年までは、英国の主要経済雑誌「The Daily Reckoning]のシティ・コレスポンダントを務めていました。









