ゴールデンウィークの相場急落の背景 - 12 May 2011

スタンダードバンク東京支店長の池水雄一氏が「池水雄一のゴールドディーリングのすべて2」で、ゴールデンウィーク中の相場急落の背景を解説しています。

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日本のゴールデンウイークにまたもや大きな動きがありました。5月2日の日本時間早朝にゴールドは歴史的高値を更新(1577ドル)、シルバーも直近の高値48.20ドルを記録した直後、相場は下げ始めました。その直接のきっかけとなったのはCMEによるシルバー証拠金の引き上げでした。一週間の短い間に 三回もの証拠金引き上げが行われ、日本時間5月2日早朝の三回目の上げが引導になりました。シルバーは48ドルから一時42ドル台まで急落(一日の動きと しては前代未聞!)その後3日、4日、5日、と日本のゴールデンウイーク中に売りが続き、ゴールデンウイーク明けの6日には一時33ドル台まで下落。この 五日間に15ドル、率にして30%を越える暴落となったのです。

(シルバーチャート)

ここまで上げてきていたシルバーの最大の不安はまさに内部要因、つまりみんながロングしているという、現在の相場環境にありました。投資マネーの流入、 増え続ける産業用の用途と需要を背景にじわじわと上昇してきて、今年に入ってからは、投資マネーの大幅増加により、一時50ドル目前まで急騰を演じていま した。まさに青天井状態、いったいどこまで上昇するのか皆目検討もつかないという状況だったのです。そして50ドルで頭が重くなったこの上昇相場の唯一最 大の不安を見事に突いたのが、CME証拠金上げの決定でした。先物市場(Comex)のシルバーに投資している投資家の多くが借金をして証拠金を預けていました。この証拠金の引き上げによってより多くのお金を積むか、とりあえず売ってしまうかの決断を迫られたのです。頭が重く当面の天井感の出てきていた相場であり、ほとんどの投資家が大きな評価益状態にあったこともあり、一部の投資家の売りが引き金となり、我も我もといういわゆるスノーボール効果で売りが 膨らみ、あっという間に大きな下げとなったのです。山高ければ谷深し、まさにそのことわざどおり、ここまで上げ一辺倒で上昇してきた相場に初めての売り場らしい売り場となったでした。Get out while getting out is good. 逃げられるうちに逃げろ、まさにそんな心境に投資家たちは追い込まれたのでした。下のSilver ETFの残高急落のグラフはまさにそんな様子を表しています。

(Silver ETFの残高推移)

ゴールドもシルバーと歩みを合わせて下落。5月2日は1577ドルの歴史的高値をつけたあと一時1545ドルまで30ドルを越えた急落になりました。その後もシルバーと同じく下がり続け、6日に1470を割り込んだところでようやく下げ止まり。

(ゴールドチャート)

結果的に日本のゴールデンウイーク最後の日がもっとも下がった日となり、そこからようやくメタルは戻り基調になりました。この下げの要はやはり、ポジ ションが集中しすぎたことによるマーケットの自浄作用と思ってよいでしょう。ソロスファンドが売ったことも注目を浴びていますが、来るべき利食いのときが とりあえず訪れたということ。上げが激しかった分下げもまた激しくなったということですね。他に目立った売り材料、特にこれだけの下げを説明する材料はありません。オサマ・ビン・ラディンの殺害は、それによって世界に平和がもたらせられるといった類のニュースではないはずです。

さて問題はこれから。果たしてこれで商品市場のブルマーケットは終わったのでしょうか。僕はそうは思いません。逆に今回の下げにより、マーケットは身軽になり、より健全な状況に戻ったと思います。これまでは「空中戦」をやっているようで地面が見えず青空の中、足元が非常に不安だったのが、ようやく陸地が 見えた気がします。そしてこの陸地には実需という力強い人たちが今か今かと待っていたのです。1570ドルは高すぎて買えなくても、1500ドルを割った レベルではすでに買う気まんまんなアジアの実需筋が、ここに来て俄然買い意欲を強めています。もちろんこのまま一直線に戻るようなマーケットにはならないでしょう。ここしばらくは下値固めをしっかりやってから再びまた上を目指す展開になるのではと思います。ゴールデンウイーク前もゴールデンウイーク後も、 世界の情勢はなんら変わったものではないからです。ということで、中長期的にはゴールドの1500ドルを大きく割れたところ、シルバーの35ドル以下とい うのは拾っておいて後悔しないレベルではないでしょうか。 以上

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池水雄一, 12 May '11
池水雄一さんのユーザアバター

貴金属ディーリングの世界でも第一人者である池水氏は、上智大学を卒業後、住友商事、クレディ・スイス、三井物産、スタンダードバンクと貴金属ディーリングに一貫して従事し、現在はスタンダードバンク東京支店長。Oval Next Corp.サイトで市場分析ブルース(池水氏のディーラー名)レポートも掲載。