ゴールドの天井と急落後の動きそしてプラチナ - 6 October 2011

スタンダードバンク東京支店長の池水雄一氏が「池水雄一のゴールドディーリングのすべて2」で、昨今の金価格の動きとその背景、それに加えプラチナ価格をその需給状況と共に解説しています。

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2011年9月6日につけた1920ドルがこれまでのところのゴールドの歴史的高値となっています。その後、ギリシャの債務不履行に対する投資家の恐怖が 最大になり、ユーロからゴールドに資金がシフトする段階を通り過ぎ、持っているものはとにかくすべて売って現金に換えるという「cash out」というほぼパニックに陥り、ありとあらゆるものが売られて、ゴールドも一時1530ドルまで暴落するという動きになりました。その後はすぐに 1600ドル台に戻し、1600ドル台半ばでようやく少し落ち着きを取り戻してきたところです。

急落直後になんですが、まるで青天井のゴールドでしたが一体天井はどこにあるのでしょうか。もちろんそれは神のみぞ知る世界ですが、このところ人々が指標にしている数字があります。(ここからは先々週号とちとかぶりますがご容赦を。)それは1980年につけ、その後25年以上歴史的高値として認識されていた850ドルという価格です。

この価格を現代の価格に焼きなおす、つまり現在のインフレ率で計算してみるという手法で、この価格を再計算して出した数字を「ありえる高値」として捉えています。それが下のグラフです。

1980年1月21日の850ドルは、現在のインフレ率で換算すると2195ドルということになります。現在の名目の歴史的高値が1920ドルですから、この数字にあと275ドルというところまで一時近づいたということになります。その後1600ドルまでの調整になっており、この高値からは大きく離れました。そして急落の影響で、おそらくしばらくは傷ついた投資家も多く、マーケットが再び大きく上昇するのには時間がまだかかろうと思われます。

それでも年後半から来年にかけてやはり相場の上昇が期待されます。欧州も米国も世界全体も投資家にとっての懸念材料自体はなにも変わっていないこと、そして何よりもFRBは2013年半ばまでの低金利維持をはっきりと言っているわけですから。今回の下落で、短期的投資家のロングがずいぶんと軽くなりました。コメックスで200トン以上、そしてETFでも50トン以上ものロングが売られた模様です。そのためマーケットはポジションが軽くなり、また何かイベ ントがあったときに買いが入りやすい状況になっています。ロングが大きすぎて(誰もがロング!)、それが最大の懸念であったマーケットでしたが、その懸念がそのまま現実化し、なくなったということです。

そしてそれ以上に新たにショートポジションを取った投資家は10%以上増えています。これもまた潜在的に強材料です。相場が上がってくると彼らの思惑はずれの買いが入ってくる可能性があるからです。恐怖指数Vix はまた45と直近の高値。ギリシャ不安をめぐる投資家の不安は依然として高水準です。長期的投資家にとってはやはりここはゲットインのチャンスなんだと思 います。

「プラチナ」

プラチナの下げが急です。10月4日午後4時現在1470ドル台まで下げています。ユーロ安、株安からの景気後退懸念からと言われますが、これは明らかに行きすぎだと感じます。現在、中小の生産者のプラチナ生産コストは1700ドルと計算されており、今年は1700ドルを大きく割り込む場面はありません でした。1500ドルを割り込むとはるかにコスト割れになっています。この価格はとうてい生産を維持できる価格ではありません。遅かれ早かれ需給関係からの修正が入ると思います。個人投資家にとってもしかり。ゴールドをゲットインのチャンスと書きましたが、実はゴールドの現物を買おうと思っているのであれば、今はプラチナを買うほうが圧倒的にお徳だと思います。現状でグラムあたり450円以上ゴールドよりも安いですからね。

以上

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池水雄一, 06 Oct '11
池水雄一さんのユーザアバター

貴金属ディーリングの世界でも第一人者である池水氏は、上智大学を卒業後、住友商事、クレディ・スイス、三井物産、スタンダードバンクと貴金属ディーリングに一貫して従事し、現在はスタンダードバンク東京支店長。Oval Next Corp.サイトで市場分析ブルース(池水氏のディーラー名)レポートも掲載。