ゴールド・オプションの現状 - 16 September 2010

スタンダードバンク東京支店長の池水雄一氏が、「池水雄一のゴールドディーリングのすべて2」でゴールド・オプションの現状について解説しています。

***************************

今週はゴールド・オプションの現在の状況を見てみましょう。

オプションの世界の中心はやはりニューヨークのNymexのoption contractになります。そこでたっているオプションのたて玉残(Open Interest)が下の表です。上のものはCall Option(買う権利)、下のものはPut Option(売る権利)です。

まずはCall optionですが、やはり節目のStrike Price(行使価格)では非常に大きなopen interestがあります。38,892contractsあるのは1300ドルが行使価格のcall optionです。このオプションを保持している人(買っている人)は、1300ドルで金を買う権利を有します。現在の金価格が1250ドルであれば、1300ドルで金を買う権利を行使する人はいません。市場で1250ドルで金を買うことができるからです。しかしもし、価格が今度上昇し、1300ドルに近づいていくとどうなるでしょう。1300ドルを越えた時点でこのオプションはin the money(行使すると利益が出る状態)になります。たとえば相場が1310ドルに上昇すれば、このオプションを行使して1300ドルで金を買い、1310ドルで売却することによって10ドルの利益を上げることができるのです。

オプションの買い手は、プレミアムという価格を払ってこれを買います。よく例に挙げられますが、これは保険を買うのに似ています。保険料を払うことによっていざというときの保障を買う。もし何も起こらなければその払った保険料は無駄になります。オプションも同様です。1300ドルで買う権利をプレミアムを払って買っていても、相場が1300ドル以上に上がらなければ、払ったプレミアムは無駄になります。つまりオプションの買い手にとってはリスクは払ったプレミアムに限定されます。逆にストライクプライスを越えて相場が上昇すれば、利益は無限大の可能性があります。

オプションの売り手は,収入としてはプレミアムだけです。買い手とは逆に売り手になると、プレミアムと引き換えに無限大にリスクを負うことになります。コールオプションの場合、相場が行使価格を越えていくら上昇しようとも、その行使価格で金を売る義務を負うからです。

そのためもし、相場が実際に1300ドルに近づいてきたら、オプションを行使される可能性は高まってきます。オプションの売り手は、相場が上がってくればそれに合わせて金を買っていくことで、オプションを行使されるリスクをヘッジしていきます。(これをデルタヘッジといいます。)これだけのOpen Interestであると、その売り手のヘッジも大量になります。そのため、1300ドル近くまで相場が上昇してくるとオプションの売り手からのヘッジ買いが相場に入ってきて、余計に相場を上げる要因になります。上の表を見る限りそういうポイントになるのが1300ドル、1500ドルそして2000ドルということになります。相場がこのポイントに近づいてくるとよりいっそう買いが増えてきて加速度的に相場が上昇する可能性があります。

逆にプットオプション(売る権利)を見てみましょう。ストーリーはコールのまったく逆になります。プットオプションの買い手は、そのストライクプライスで売る権利をプレミアムを払って買います。現在のNymexのopen interestを見ると1000ドルをストライクプライスにしたプットオプションが大量にたっているのを見て取ることができます。コールの時と同様もし相場が下落し、1000ドルに近づいてくると、1000ドルストライクのプットオプションの売り手からのヘッジの売りが加速度的に増えてくることになります。現状のたて玉の残高を見ると、プットオプションがまとまってあるのが、1050ドル、1000ドル、900ドルといったストライクプライスです。このあたりに相場近づいてくると、プットの売り手(グランターともいいます。)からのヘッジの売りが加速度的に増えてくると思います。

非常に単純化した説明ですが、実際の相場が大きなたて玉が残るストライクプライスに近づいたときは、要注意です。

***********************

金の投資をお考えですか?英国女王賞を受賞したBullionVaultをお試しください。

池水雄一, 16 Sep '10
池水雄一さんのユーザアバター

貴金属ディーリングの世界でも第一人者である池水氏は、上智大学を卒業後、住友商事、クレディ・スイス、三井物産、スタンダードバンクと貴金属ディーリングに一貫して従事し、現在はスタンダードバンク東京支店長。Oval Next Corp.サイトで市場分析ブルース(池水氏のディーラー名)レポートも掲載。