スタンダードバンク金相場予想 - 18 August 2010

貴金属ディーリングの世界でも第一人者である、スタンダードバンク東京支店長の池水雄一氏が、「池水雄一のゴールドディーリングのすべて2」で、スタンダードバンクにおける金相場予測を次のように解説しています。

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今週および来週は、スタンダードバンクのアナリストの今後の金相場予想をお届けしましょう。これは、私自身の考えにほぼ一致します。

金相場は6月に史上最高値である1265ドルを記録してから、7月には1170ドルまで下落しました。現在は1200ドルを回復、8月16日には1220ドルを超えて、ようやく下値調整局面を脱しつつあるようにみえます。Standard Bankでは、一貫して今年後半には1300ドルに到達するとみており、2011年、2012年も金相場は強基調で推移するであろうと予想しています。しかしながら世界的に実質金利は現在の異常とも言える低金利からの上昇が予想されるので、来年、再来年の金相場上昇の勢いは弱まるでしょう。

「世界の流動性と実質金利」

世界の資金流動性と実質金利が、金に対する投資需要の大きなサポートになっています。流動性は各国政府の景気対策のための資金供給のためにまさにじゃぶじゃぶ状態。実質金利は異常といっていいほどの低金利が続いています。その結果、金に対する投資需要は今後も根強いものがあると考えます。米国のFED Balance Sheetに世界の金を除く外貨準備高を足したものを世界の流動性と考えると、この世界流動性は、今年ここまでで9.4%増加。そして金価格は8%の上昇でほぼ正比例の関係にあります。

2009年年初からの過去二年間で金ETFの残高は72%も増加し、2030トンに達しています。これはまさに流動性と低金利の結果の最たるものです。実際、コモディティの中でも金がもっともこの豊富な流動性と低金利の恩恵を受けており、金価格は世界の流動性を追いかけていると言ってもよいでしょう。来年2011年もおそらく米国FRBは金利を変更しないでしょう。その後ゆっくりと切り上げていくと予想されます。現在の米国の10年のインフレリンク債の利回りは1%です。これは投資家が将来10年にわたって実質金利が1%であると考えているということです。1997年に同じレートが4%であったことを考えると現在の低金利がいかに金投資に有利かということが想像できると思います。

今後も世界の流動性は発展途上国が外貨準備高を増加させることによって伸びていくことが予想されます。しかしながらその伸び率は2011年が8%、2012年は5%と鈍化を予想。もし米国の実質金利が4%まで上昇すると、金価格は下落を始めると予想します。

実質金利が上がり始めるか、流動性が減少しない限りは金投資は有効であり、現在のところ、このどちらもその傾向はみえません。

「中央銀行の金準備」

過去30年間、世界の中央銀行は金準備を減少させる方向でしたが、外貨準備が増加し、いわゆるソブリンリスクが高まり、米ドルに対する不安が高まる現在、金準備削減の傾向は変化しつつあります。2010年第一四半期の中央銀行の金保有合計は2万7069トンであり、一年前の2万6,315トンから増加しています。2000年第一四半期のそれは3万0,001トンでした。今後、中央銀行は売り手から買い手に回っていくと予想します。

中央銀行が売り手でなくなることにより、相場に心理的な支えを与え、金の供給が減るという需給面のプラスもあります。中央銀行の外貨準備管理は非常に長い視野で行われ、多くの場合、ほとんど永久にその資産を持ち続けるということもあります。そのため、個人や機関投資家のように短期、中期的な相場の動きにも比較的に影響を受けません。その中央銀行が金の準備を増加させるということは、非常に長期での需要が生まれるということになります。

ただし、もはや1970年代の金本位制に戻ることはありえません。各国の金融調整手段を奪うようなことを中央銀行がやるはずはありません。ですから今後金準備を増やしていくことが予想されますが、外貨準備の中心にあるのは圧倒的に金以外の資産であることには変わりないと思います。

この続きは、次週掲載します。

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金の投資についてはこちらをご覧ください。 

池水雄一, 18 Aug '10
池水雄一さんのユーザアバター

貴金属ディーリングの世界でも第一人者である池水氏は、上智大学を卒業後、住友商事、クレディ・スイス、三井物産、スタンダードバンクと貴金属ディーリングに一貫して従事し、現在はスタンダードバンク東京支店長。Oval Next Corp.サイトで市場分析ブルース(池水氏のディーラー名)レポートも掲載。