チャンスは貴金属にあり - 22 September 2010
毎日新聞社発行、エコノミストマネー10月号に、「チャンスは貴金属にあり」という、一般投資家向けに投資商品としての貴金属市場を分析した特別レポートが掲載されています。ここでは、金を中心とした貴金属市場のレポートがそれぞれの市場の専門家によって寄稿されています。金市場に関しては、スタンダードバンク銀行東京支店長池水雄一氏が分析をし、個人的に面白いと考える投資商品をBullionVaultを含めて紹介しています。ここでは、その箇所を抜粋してお届けします。
「金 今年後半に1300ドル圏上昇も」
本誌8月後腕金相場の近況を紹介させていただいたが、相場が上昇するという私のマーケットの見方は、基本的に変わっていない。
やはり、7月の1200ドル割れは千載一遇の買いのチャンスだったようだ。ここにきて、市場の辛く傾向もあり、投資資金の金へのシフトはますます鮮明になっている。
現在、最大の金投資商品ともいえる金ETFの残高は、2010年4~6月期には291トンと、四半期ベースでは市場2番目のペースで急増している。金の投資資金の移動が、もはや単なる一時的な動きではないことは過去10年間にわたる上昇相場が雄弁に証明している。この傾向は年内は続くだろう。その根拠となる現象を3つ挙げておく。
一つは、各国政府の景気維持のための金融緩和政策。実施に伴い資金流動性と低金利が維持され、金投資を促進する環境が保たれる。
2つ目は、価格は1200ドル以下の段階では、インド、東南アジア、中国などの需要国で非常に強い実需が発生する。また、宝飾需要は季節的要因で年度後半(インドの祭礼シーズンおよびクリスマス)に盛り上がる傾向がある。
これらを背景に、今年後半に向けては歴史的高値の1265ドルを超え、1300ドルを試す動きになるのではないか。逆に、最大の不安材料を一つだけ挙げるなら、米国をはじめ各国政府が現在行っている金融緩和政策が方向転換されて資金流動性が減り、金利が上昇することだろうか。ただし、おそらく最低でも1年にはそれは起こりそうにない。
金投資5つの実践方法
個人投資家の立場なら面白いのではないかと私が思う投資商品を紹介する。
[1]金現物取引
やはり金投資の王道は現物、金地金だと思う。それも、少し値は張るが1キロバーをお勧めしたい(340万円前後)。流動性、バー手数料を考えても、最も無駄のない選択だろう。保管の心配がないなら、やはり手元に持っておくのが安心感もあり一番。
購入は大手の地金商、鉱山会社などの店頭で、その会社のブランドを買うのが一般的。ブランドにこだわりがないなら、商品取引員で買うと東京工業品取引所の価格ベースの、若干有利な価格で買えるという選択肢もある。受け取るバーのブランドは東京工業品取引所の認めたブランドになるが、いずれも世界的な基準をパスしている。すべて純度99.9%の「Good Delivery」と呼ばれているバーで、品質面の心配はない。
[2]純金積み立て
「金相場をちゃんと見ているわけではなく、現物は買うタイミングがわらない」「1キログラムバーを一度に買う資金的余裕はない」という方に広く勧めたいのが、「純金積み立て方式」である。
これは、いわゆるドルコスト平均法、例えば「1ヶ月3000円」など毎月一定額で、金を買いためる方法だ。金が高くなれば買い付け数量が減り、金が安くなればたくさん買うという具合に、金の所得額を平均化していく。毎月、決まった期日の価格で機械的に買うことになるので、相場に頭を悩ます必要がない。また、スポット買い付けのできる会社も多く、安い時に買い増したいというニーズにも応えてくれる。
表で紹介している地金商や鉱山会社、商品取引員、商社、銀行は純金積み立ての取り扱いがある。購入コストや地金の保管方法など細かい仕組みは各社違いがあるのでよく比べてみてほしい。
[3]金先物取引
東京工業品取引での金先物取引は最もハイリスク・ハイリターンの取引であり、相当のリスク耐性のある投資家にしか勧められない。逆に、リスクがしっかりと認識できる、資金的にも余裕があるセミプロ投資家なら、最も面白い取引形態であろう。
売買は商品取引員を経由して行う。ちょうど今年9月21日に、朝9時から翌朝4時まで取引時間が延長された。(それ以前は夜11時まで)。先物取引は商品取引員に口座を開く必要がある。取引形態は、いわゆる対面取引(主に電話)とネット取引に分かれる。
[4]CFD取引
CFD(差金決済取引)とは近年始まった形態で、いわゆるマージンFXと同じ証拠金取引だと理解すればよい。証拠金での取引という面では先物取引に似ているが、ポジションが毎日ロールオーバーされる。取引所で取引するわけではなく、あくまでOTC(相対取引)である。先物同様、上級者向け。取引所先物にない魅力としては、ドル建ての金が取引可能である。
[5]海外保管金地金
ロンドン、チューリッヒ、ニューヨークなど海外に金を保管する現物取引。通貨はドル、ユーロ、ポンド。現物は特定分離保管(取り扱い会社の資産と分けて保管)されており、安心感が大きい。インターネット取引で24時間売買できる。ラージバーで保管されるため、現物を実際に引き出すのは現実的ではない。
主な金取り扱い業者
| 業者名 | 得意な取引 | 特徴 |
| 地金商 | ||
| 田中貴金属 | 金現物 | 日本の地金商のガリバー的存在。ブランド認知度も非常に高く、業界シェアは圧倒的である。 |
| 石福金属興業 | 金現物 | 田中、徳力と並んで地金商「御三家」と呼ばれる老舗。工業分野にも強い。 |
| 徳力本店 | 金現物 | 江戸時代創業300年を誇る老舗中の老舗。 |
| 鉱山会社 | ||
| 住友金属鉱山 | 金現物 | 日本国内で唯一現役の金鉱山菱刈鉱山を経営し、まさに日本の金を産出する。 |
| 三菱マテリアル | 金現物 | リテールにも力を入れている鉱山会社。三菱ブランドは個人投資家にも人気が高い。 |
| 商品取引員 | ||
| 第一商品 | 金現物 | 「金の第一」と呼ばれる。先物のみならず金現物の販売量も群を抜いており、金業界全体でも有数の規模を誇る。 |
| セントラル商事 | 金現物 | 60年の歴史を誇る老舗。先物、現物、ゴールドリリースなどユニークな取り組みがある。 |
| ドットコモディティ | 金先物、CFD | 唯一のネット専業商品取引員。口座を増やし続けている。CFDや海外先物取引など常に新しいサービスを開拓している。 |
| 岡藤商事 | 純金積み立て | 先物のみならず、現物、商品ファンド、純金積み立てなど幅広く手がけている。 |
| エース交易 | 純金積み立て | 大手商品取引員、先物、純金積み立て、FX取引などを行っている。 |
| 光陽ファイナンシャルトレード | 純金積み立て | 商品取引員であるが、その純金積み立ては最もコストが安い。 |
| 商社 | ||
| 三菱商事 | 純金積み立て | 商社ではめずらしく直接個人向けの純金積み立てを行っている。 |
| 三井住友銀行 | 純金積み立て | 銀行で唯一純金積み立てがある。 |
| 海外業者 | ||
| ブリオンボールト | 海外保管金地金 | 現物をネットで取引し、それを海外で保管するというユニークな業者。ロンドン貴金属市場協会の公認を受けており、現物は分離保管なので安心。 |
(出所)筆者データを基にエコノミストマネー編集部作成
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貴金属ディーリングの世界でも第一人者である池水氏は、上智大学を卒業後、住友商事、クレディ・スイス、三井物産、スタンダードバンクと貴金属ディーリングに一貫して従事し、現在はスタンダードバンク東京支店長。Oval Next Corp.サイトで市場分析ブルース(池水氏のディーラー名)レポートも掲載。









