パラジウム市場の見通し(1) - 10 November 2010

スタンダードバンク東京支店長の池水雄一氏が「池水雄一のゴールドディーリングのすべて2」でパラジウム市場を分析しています。

今年の6月第一週にPGMの生産コストの話を書きました。それから半年後の現在、やはりPGMは下落せずにほぼ一本調子で価格を上げてきています。当時出した年内の予想価格はプラチナ1800ドル、パラジウム650ドルでした。(当時の相場はプラチナ1550ドル、パラジウム470ドルでした。)11月現在、プラチナは1760ドル、パラジウムは680ドルまで上げてきており、パラジウムは年内の目標の650ドルをすでに超えてしまいました。ここでもう一度PGMのマーケットを見直してみましょう。

「まだ高値は続く」

・プラチナの目標は1800ドルで変わらず。パラジウムの650ドルはすでに到達して700ドル目前まできている。おそらく2011Q1には750ドルあたりまで上昇するのではないか。

・Standard Bankの南アPGM生産コストモデルは変化なし。ランド高であるが、それはメタルの上昇により相殺されている。逆にランド高はPGMの生産コストの基礎部分を底上げしている。

・スイスの輸出入統計によるとパラジウムがスイスからこのところずっと輸出超になっている。

・12月からは世界の自動車販売が増加することを予想。これは投資家の買い材料ともなろう。

「Standard Bank PGM生産コストモデルの最新状況」

プラチナ1800ドルとパラジウム650ドルというのは、ランドが1ドル=7.5ランドであるという前提のもとで、南アの中小のPGM鉱山会社が経営していける最低限のレベルである。現時点のランド高(1ドル=6.8ランド)が長期的に続くようであれば、このターゲットを引き上げる必要がでてくるであろ
う。

現時点ではランド高とPGM高が互いに相殺しあっていおり、生産者にとってはあまり大きな影響はない。しかし6月には彼らの生産コストとして見積もっていたプラチナ1500ドル、パラジウム430ドルとみてきたが、ランド高のためにそれが1600ドルと520ドルと上昇してきている。そのため1600ドルを割り込むことがあれば、それは絶好の買いのチャンスになろう。

下の表Figure1はランドが6.75ドルであるときと6ドルであるときのケースである。

・1ドル=6.75ランドであり、ドル建てのPGM相場が現状の場合は、98%の南アの鉱山会社が資金繰りに余裕がでてきます。

・1ドル=6.00ランドになった場合はその割合が88%に。

・来年はプラチナマーケットは10万オンスの供給不足が予想されており、市場は中小の生産者を必要としている。

・我々の現在のコスト計算で、もしPGMの価格が動かずに1ドルが6.75ランドのまま推移すると、利益の上がる南アの生産者はわずか70%に激減することになる。

次週に続く

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池水雄一, 10 Nov '10
池水雄一さんのユーザアバター

貴金属ディーリングの世界でも第一人者である池水氏は、上智大学を卒業後、住友商事、クレディ・スイス、三井物産、スタンダードバンクと貴金属ディーリングに一貫して従事し、現在はスタンダードバンク東京支店長。Oval Next Corp.サイトで市場分析ブルース(池水氏のディーラー名)レポートも掲載。