上昇を続けるシルバー相場 - 29 April 2011

このところのシルバーの上げ方は尋常ではない。昨年12月半ば、来年のシルバーは40ドルとあまり深く考えずにいった言葉が、その日のうちに Bloombergを通じて世界中に配信されて(当時は30ドル手前)世界中のディーラー仲間から、すごい強気だとからかわれた。当時の見方はもはや銀は 上がりすぎており、おそらく反落して20ドルを割り込み10-15ドルまで下げるであろうというものが圧倒的だった。それをもっと上がって40ドルまでいくと言っている、馬鹿なやつだなあ、というのがほとんどの人の印象だったと思う。 その後のマーケットの動きは1月のリバラシングによるゴールド売りとともにシルバーも売られ一時26ドルまで下落。しかしそこでは実需による買いに支え られ、同じく1300ドルで支えられたゴールドとともに上昇基調へと転ずる。30ドルを越えてからほぼ一直線に上昇、4月25日現在47.90ドルと日 々、31年ぶりの高値を更新しつづけている。マーケット関係者の大部分の予想を大きく裏切る上昇相場が継続しているのである。

なぜシルバーがこんなに上がっているのか。上の表を見てもらえると今年に入ってからのシルバーの上昇率は他のメタルを寄せ付けない圧倒的なものになって いるのがよくわかる。そしてそれは昨年2010年からのパフォーマンスをとってみてもやはりシルバーは他を圧倒しているのである。世の中では一般にゴール ドが注目を浴び続けているが、実は単純にパフォーマンスを比べると貴金属の中でもシルバーが圧倒的なパフォーマンスを上げているのである。
ではなぜ今これだけシルバーが上昇しているのだろうか。 1.投資マネーの流入 現在シルバーが上昇している最大の理由は、端的にそれだけのマネーがこの市場に流れ込んでいるからである。つまり個人・ファンドをふくめた投資家の目が いまシルバーに注がれている。特に米国で。米国ではシルバーのことを昔からPoor man’s goldと呼び、ゴールドと同じ目線で、ゴールドを買えない人々の投資対象として人気があったが、現在その動きが加速している。特に注目を浴びているのが SilverのETFの残高。(iShares Silverがその中でも最大もの。約7割を占める。)直近の数字で15,400トンあまり。これは世界の銀の一年の鉱山生産量の半分以上に匹敵する量と なっている。ゴールドのETF残高が頭打ち傾向にある中、シルバーは確実に増加をたどっており、この商品を通じてシルバーに投資する投資家がどんどん増え ている。シルバーが50ドルになっても1,500ドルもするゴールドよりも彼らにとってはるかに手が届く投資対象なのである。

この投資マネーの流入がシルバー急騰の直接の要因。しかし世界最大のシルバーの先物市場Comexの投資家ロングは、それほど過熱感がない。(下チャート)

もう一つ注目すべきは現物への投資需要。米国でのSilver Eagleコインの売り上げが386トンと史上最高値を達成、現物不足で供給が追いつかないという事態にまで陥っている。そして最近では中国や韓国でもシ ルバーの現物が足りない状態になってきており、中国黄金交易所(Shanghai Gold Exchange)では1ドル以上のプレミアムがついており、韓国でも同様、現物が足りないことにより国内市場でのプレミアムが上昇している。中国は先高 を見込んだ個人投資家の動き、韓国では同じ理由での需要家の動きが主な背景。 2.膨らむ新たなシルバーの用途 投資対象としてのシルバーとは別に、産業用メタルという側面がシルバーには大きく、それがゴールドとの大きな違いになっている。現在のシルバーの急騰の 直接的要因が投資マネーだとしても、その投資判断の一つの理由になっているのが、シルバーの需要状況だといえるだろう。デジタルカメラの登場とともに一時 シルバーの需要は大きく減少すると心配されたが、現実は、フィルム需要に変わるシルバーの需要が次々と生まれて、それが逆に需要を増加させている。

Brazing Alloys & Solders - 鉛フリー半田
Ethylene Oxide - 酸化エチレン(プラスチックの製造、医療機器や精密機械の減菌などに使われる)
Electrical & Electronics - 電気・電子材
GFMSによると2010年携帯電話に使われるシルバーは404トン、コンピュータは685トン、太陽光発電の電池皮膜に1,462トン、自動車の接点 や部品に1,120トン。電気・電子工学分野全体での需要は過去最高の7,555トン、太陽光発電の2011年の銀需要は2,180トンと予測されてこれ は2010年の40%増加!RFID タグ(Radio Frequency Identification、無線商品管理タグ)はまだ30-60トンの間。この分野はまだこれから。商品の包装や衛生分野で使われるナノシルバーは 2015年には124トンまで需要が伸びるであろうと予測している。このようにシルバーはそのメタルの特性が次々と新たな需要を生み出している。特に今回の日本の原発の事故により、太陽光発電はさらなる需要が期待できるであろう。唯一、心配なのはあまりに急激な値上がりのためにこれらの用途が減少してしま うことであろうか。

Food Packaging - 食品包装
Supercapacitors - 超電池
Superconductors - 超伝導体
Hygiene - 衛生関係
Medical Uses - 医療関係
Wood preservatives - 木材保存
現在シルバーはもはや50ドル目前。あまりに急激な上げに対する下げがいつあってもおかしくない状態ではある。3-4ドルの目の前での動きはありうべし なのだが、それが大きなトレンドの変化として下落に転じるということは現状では考えにくい。これだけ上がっていてまだ上昇の可能性が見える、すごいマー ケットになったものだ。 以上
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貴金属ディーリングの世界でも第一人者である池水氏は、上智大学を卒業後、住友商事、クレディ・スイス、三井物産、スタンダードバンクと貴金属ディーリングに一貫して従事し、現在はスタンダードバンク東京支店長。Oval Next Corp.サイトで市場分析ブルース(池水氏のディーラー名)レポートも掲載。









