変わってきた投資家心理 - 2 February 2012
スタンダードバンク東京支店長池水雄一氏が、「池水雄一のゴールドディーリングのすべて2」で、金価格上昇に伴う、投資家心理の変化について分析しています。
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Gold price & Comex Gold non-commercial positions

今年に入って投資家の心理が変わってきたのを感じます。昨年、「キャッシュ化」という投資家の不安心理の極まりで起こった究極の行動によってゴールドは 何度も大きく下げる場面がありました。多くの投資家が痛い目にあったことは記憶にまだ新しいでしょう。あの不安心理が大きく後退している気がします。

不安のもっとも大きな原因であると考えられる欧州の状況は何ら改善されていませんが、投資家の心理状態を表すと言われる恐怖指数Vixが20を割り込んでいます。Vix(Volatility Index)とはCBOEに上場されている米国のS&P500のオプションのボラティリティ(変動率)を元に作られている指数のことです。通常は 10-20の範囲で動き、投資家が不安になるような状況に陥った時に大きく上昇します。昨年夏の欧州危機の際には一時40を越える場面がありました。これをみると現在は投資家の心理状態はほぼ平常に戻っていると言えます。

Comexの投資家のロングポジションは年初には600トンを割り込み、2009年の年初以来の低水準となりました。2009年初旬のゴールド価格は 850ドルでした。2011年年初がほぼ同じレベルのロングポジションですが、価格は1600ドル、価格はほぼ二倍になっています。これは上のチャートを 見ればわかりますが、過去5年の間にこの投資家ロングポジションは1000トンを越えたところで頭打ちになっていることがわかります。そして大きく調整、 つまりロングの手仕舞い売りが入り、建て玉は急減、ゴールドの価格もそのたびに頭打ちになって急落というパターンを繰り返しています。そして急落のあとは 必ず急激に戻すというパターンが続いています。長期的トレンドが変わらない限り、このようないわゆる「大部分の投資家がロング」という偏ったポジションに マーケットが大きく傾いたことによる、調整の売り、弱いロングの振り落としとも言える一時的急落局面は、絶好の買い場になっているということがいえるでしょう。そして多くの投資家がロングから離脱した結果、マーケットの非常に軽い、空いている(混雑していない)状況になるのです。これがまさに今年の年初の状態でした。昨年末に向けて、多くのロングが整理され、一時1000トンあったロングも500トンまで整理されたのです。
そしてその状況下でのFRBの低金利維持の一層の長期化の見通しでした。2011年8月にバーナンキ議長は、2013年半ばまでの低金利の維持を発表しました。この発表を受け、ゴールドはまさに一ヶ月で1600ドルから1900ドルへの急騰を演じました。そして再びまた今度はそれを2014年終盤まで延長する発表を行ったのです。全くの偶然ですが、このときのゴールドはやはり1600ドル台。この発表の直後ゴールドは1660ドルから1710ドルまで 50ドルのジャンプ。そして先週末までに1740ドルまで上昇しました。現在の強気マーケットのもっとも根底にある世界の金融緩和が、FRBによって追認されたのはまさにゴールド上昇への免罪符と言ってもよいでしょう。良くなった投資家マインド、軽くなった先物市場のポジション、そしてさらに長期の金融緩 和の追認。ゴールドの上昇トレンドはさらなる継続が明らかとなり、これまで現金に非難していたマネーがまたゴールド市場に流れ始めています。
おそらくまたComexの投資家ゴールドロングポジションはだんだん増えていき、1000トン当たりで「マーケットが混雑しすぎ」という内部要因の恐れが出てくる可能性があります。しかしそうなったときの反落場面はやはり過去の事例を見るかぎり、絶好の買い場。ポジションも軽い今年前半はおそらく1800ドルから1900ドルへの上昇の可能性が高いのではないでしょうか。
以上
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貴金属ディーリングの世界でも第一人者である池水氏は、上智大学を卒業後、住友商事、クレディ・スイス、三井物産、スタンダードバンクと貴金属ディーリングに一貫して従事し、現在はスタンダードバンク東京支店長。Oval Next Corp.サイトで市場分析ブルース(池水氏のディーラー名)レポートも掲載。









