投機資本の流入により銀価格が急騰 - 14 October 2010

ブリオンボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュが世界でも有数の経済紙「フォーブス」のオンラインサイトのブログで昨今の銀への需要の高まりと価格の動きについて語っています。

銀の投資は投機であると考えるかもしれません。しかし、このゼロレート下においては、用心深い貯蓄者ですら、資産保全のために、有価資産(Hard Asset)の可能性を考えざるを得ないのです。

金地金と似通いながら、それと同様の地位を持たない銀地金は、昨今金と共にメディアの見出しを賑わしています。しかし、グーグルの検索結果を見ると、銀への興味は金のものとは比べることはできないようです。

それにもかかわらず、記録的な資金の流入のため、欧米では、銀ETFは記録的な量を保有しています。ドイツ、インド日本の貴金属ディーラーは、需要の急激な伸びをレポートしています。ブリオンボールトにおいては、銀に対する新規の問い合わせは、先月5倍となっています。そして、銀価格が9月半ばから15.7%上げ、過去30年の最高値を記録し続けている現状では、強い買い傾向が見受けられます。

これはなぜなのでしょうか。第一の重要な要因は、ゼロレートから逃れるために、金が主要な投資商品となってきたことです。 それがゆえに、銀への注目も高まっているのです。また、その価格変動率の高さからも、銀は金の上げを上回り、金の年初来の上げ率は22.5%であるのに対し、銀の上げ率は35.9%となっています。しかし、日々の変動率は、金と銀は過去12ヶ月の中で、その関係指標は+0.977と最も緊密な関係にあります。これは、1968年1月からの約40年間の日々の平均が+0.622であることからも、顕著であることが理解できます。

第二の要因は、銀市場は金に比べると小さく流動性が低い市場であるためです。その価格変動が激しい点も、ディーラーや短期で利益を上げたい投資家にとっては魅力的であります。ロンドン銀地金卸売り専門市場の一日の売買量は、金地金の20分の1です。 ニューヨークコメックス先物における日々のドル建て取引量においては、銀は金の5分の1です。つまりは、資金が流入(もしくは流出)すると、金価格の1%の動きに対し、平均して銀は1.75%動くというように、その価格への影響はより大きくなるということです。銀の月間の変動率は、過去5年間で19%、過去3年間で10%と非常に低い率となっています。昨今は、金と銀双方において、この日々の変動率は高くなってきていますが。他の金属の変動率と比べるとはるかに低いものです。

銀の取引をする際、理解していなければならない点があります。まず第一にロンドンの専門ディーラーの間では、銀は「悪魔の金属(Davil's metal)」と呼ばれています。「ヘッジファンドは、この変動率の高さを好みますが、取引をすると痛い思いをしているようです。」とHSBCのJohn Levin氏は述べています。

また、銀価格は、2008年に下落したことから証明されるように、経済状況により大きく左右されます。それは、多くは工業用として使われるためです。銀鉱山会社の資本によって運営されているシルバーインスティチュートのリサーチによると、毎年15%の金現物が工業用として使われるのに対し、60%の銀現物が工業用として使われます。これは、金に価値を見出さない、一般的に金投資に反対する人々に対しては、銀投資を説得できる材料でもあります。

写真関係の銀の需要は、デジタルカメラの普及により、過去5年間で3分の2程減っています。しかし、これは、RFID、ソーラーパネル、木材防腐剤、さらには病院で使われるシーツやデオドラントなどに含まれる殺菌剤などの新しい需要によって十分取り替えられています。価格によっては、新業界がより費用対効果のある素材を求めるため、この需要を失うことになるかもしれません。 しかし、投機的需要が支える中、今後一般投資家の資金がさらに銀市場に流入することを予想します。

金のように、歴史的に銀は通貨としての機能を保持していました。経済危機によって実施されざるを得ない、今日のゼロレート下で、しかも世界の主要中央銀行が通貨安戦争を行うことによって引き起こされるであろうインフレ対策として、銀投資は魅力のあるものと言えるでしょう。

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Adrian Ash, 14 Oct '10
Adrian Ashさんのユーザアバター
エィドリアン・アッシュは、ブリオンボールトのリサーチ主任として、市場分析ページ「Gold News」を編集しています。また、Forbeなどの主要金融分析サイトへ定期的に寄稿すると共に、BBCに市場専門家として定期的に出演しています。その市場分析は、英国のファイナンシャル・タイムズ、エコノミスト、米国のCNBC、Bloomberg、ドイツのDer Stern、FT Deutshland、イタリアのIl Sole 24 Ore、日本では日経新聞などの主要メディアでも頻繁に引用されています。

弊社現職に至る前には、一般投資家へ金融投資アドバイスを提供するロンドンでも有数な出版会社「Fleet Street Publication」の編集者を務め、2003年から2008年までは、英国の主要経済雑誌「The Daily Reckoning]のシティ・コレスポンダントを務めていました。