金が最適な投資商品ではなくなる時 - 4 February 2011
一般的に投資に多様性を持たせることは必要であると言われますが、金は、他の投資対象金融商品の収益率(リターン)が上がると、人気を失います。
率直に言うと、どのような投資商品も永久に利益を得ることができるという保証はないということです。それは、預金、債券、株式、不動産、商品もしくは金地金においてもです。と、BullionVaultのエィドリアン・アッシュは述べています。
そのため、どのようなファイナンス・アドバイザー、経済学の教授、銀行のマネージャ、金貨のディーラーも、ある一定の投資対象資産の価値が、購入から売却するまでの何年のも間、必ずその価値を保つ、もしくは増加するとは保証できないはずです。
例えば、現物資産を購入するのは、昨今賢い選択と考えられています。しかし、貴金属と商品は、1980-1990年代には、投資対象資産としては適切なものではありませんでした。この際、インフレ率は戦時下ではない状況下では記録的に高いレベルであったにもかかわらずです。
1980年から2000年の間、居住用不動産は価値を高めました。米国株価の上昇率は、生活費の上昇率の13倍となりました。国債においては、年間実質8%の利回りを得ることができました。預金ですらも、その購買力を2倍としたのです。しかし、商品(CRB指標)においては、インフレ調整をする前に、その価値の半分のみと、惨憺たるものでした。そして2000年の初めには、金は実質的な価値を5分の1としたのです。
それに対し、過去11年間は対照的なものとなりました。1970年代のように、欧米の投資家と貯蓄者は、天然資源の価格が上昇(CRB指標によると3倍)するのを見ることとなりました。しかし、居住用不動産は、まず2倍となったところでバブルが弾け、株式は上昇することがありませんでした。預金は、実質金利がマイナスであることから、その購買力が減少したことは言うまでもありません。
国債に関しては、30年間にわたり継続して資産価値を上げることを可能としています。
昨年の夏のエコノミストに掲載されたButtonWoodのコラムでは、「本来逆相関関係である金と国債が、同様の動きをしたこの事実には注目せざるを得ません。」と述べています。「金を保有するということは、通常インフレから資産を保全するためのものでした。そして、インフレは国債所有者にとっては良いものではなかったのです。」
それでは、どうしてこのような事が起こったのでしょうか。エコノミストは、「資産の安全な逃避先」であるためと解説しています。しかし、2007年から2009年における金融危機のみでは、過去10年のこの不思議な現象を説明することはできません。中央銀行は利回りを下げています。とエコノミストは言及し、「金がインフレの兆候から買われる中、金融の量的緩和により人工的に国債の利回りを高く保っています。」しかし、金地金と国債が共に上げているのは、FRBのバーナンキ議長が金融の量的緩和を行う以前からです。投資家は、中央銀行が常にインフレを引き起こすことを知っているのです。そして、それはデフレの兆候が見えるまでは行われないことも。そのために、それまでは国債を購入するのです。
「主要国の政策(低金利、金融の量的緩和、膨大な公的債務)は、インフレを招きます。しかし、経済成長を判断する、国内総生産の伸び悩みおよび信用収縮解消の遅れは、デフレの可能性を示唆します。」と、金融機関のクレジットアナリシストが困惑していることについてエコノミストは言及しています。
「金および国債を購入している投資家は、先の二つの相異なるシナリオのヘッジを行っているのです。」
2011年の始まりにおいて、金は過去10年間継続して実質年間収益率が増加しています。T-Bond(アメリカ30年国債)への投資においても、過去30年間に収益を上げることが可能でした。それでは、これらの投資家は同じ人々なのでしょうか。2002年以来、金と国債のロングポジション(買いが売りを上回っているため、購入し保有している状態)は成功を収めてきました。しかし、どんなに成功を収めている投資商品も永久ではないという投資の鉄則もあるように、この両投資商品が永遠に成功を収め続けることはないはずです。

投資家がインフレの兆候を見出すと、国債の利回りは下がり価格は上昇します。1982年からの低金利政策のおかげで、国債価格は上昇し続けています。

それに対し金は、利息を生み出しません。20年間の弱気市場の後、2001年以来価格は上昇し続け、2005年からは顕著に上げ続けています。
今後の市場の変化は、金の市場が発端とはなりません。それは、金の特色である、人工的に作り出すことはできず、破壊することも不可能でありながらも、その投資においては利息も配当も生み出さないという特色はあくまでも変わらないためです。そのため、この市場に変化が起こるとすれば、他の市場の変化へ投資家が反応した結果といえるでしょう。
国債市場の先行きを予測するのは、金価格が上昇を続ける間は難しいものがあります。居住用不動産は、信用収縮が解消されていない現状において、市場にあふれています。また、株式価格は、一部の悲観主義者を除き、上げ続けるであろうと思われています。
「Societe GeneraleのDylan Grice氏は、今日のS&P500の株価収益率(PER)を適正に調整した(CAPE)場合、歴史的には頂点にあることが理解できるでしょう。」というコメントを、ファイナンシャルタイムズのMerryn Somerset Webb氏は言及しています。
「実際、Smithers & Co.のAndrew Smithers氏は、米国市場は70%高く評価されていると考えています。そのため、Grice氏の数値を考慮すると、少なくとも今後10年間の収益率は年間約1.4%となります。」と続けています。
今後10年間に予測される株式における低い収益率は、「株式市場の終焉」の記事にもなりましたが、1970年代にも起こりました。その際金市場は、強気市場となり、価格を大きく上げたのでした。しかし、株式市場が低迷するという懸念は現在ありません。もちろん、金価格が下げる前に、株式市場が低迷するという保証はありません。
しかし、投資に多様性を持たせる、他の投資商品のヘッジのため保険といった様々な呼び方はできるかもしれませんが、金は他の投資商品の収益率が低い際にはそのパフォーマンスを上げるのです。
そのため、金が最適な投資商品でなくなるのは、他の投資商品が収益率を上げる時なのです。
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弊社現職に至る前には、一般投資家へ金融投資アドバイスを提供するロンドンでも有数な出版会社「Fleet Street Publication」の編集者を務め、2003年から2008年までは、英国の主要経済雑誌「The Daily Reckoning]のシティ・コレスポンダントを務めていました。









