金を購入する人々 - 4 February 2012

先週発表された米国連邦準備制度理事会による超低金利政策継続のニュースが、金価格を押し上げ、金が再び経済ニュースのトップで取り上げられうようになった昨今、誰が金を購入しているのかについて、そしてその背景をブリオンボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュは解説しています。

例えば、先々週の春節(旧正月)に向けて、中国の一般市民が金を大量に購入していることは、ニュースでも伝えられていました。

また、一般投資家による需要の増加という現状を除いても、国際通貨基金(IMF)によってまとめられているデータによると、現在中央銀行によって保有されている金の総量は、過去6年間で最も多くなってることも明らかとなっています。

「1970年、1971年以前の金本位制時代に比べ、金は金融システムの中では重要な位置を保持していないという認識があるかもしれません。しかし、それは決して正しくはありません。金本位制が終わったとしても、金は中央銀行によって保有される資産としての位置付けを失っておらず、昨今は金融システムの構造の一部となっているのです。」と、ワールド・ゴールド・カウンシルのマネージング・ダィレクターのマーカス・グラブ氏が先週インタビューで答えています。

この大部分は、中央銀行の金備蓄であるのですが、先のチャートが表すように、中央銀行の備蓄量は、地上に現存する金総量に占める割合においては減少しています。そして、現存する金の総量の多くは、一般投資家によって保有されているのです。そして、先でワールドゴールドカウンシルのMarcus Grubb氏が語っているように、金は未だに通貨、金融システムに影響力を持っているのです。

まず、個人投資家は、20世紀末には宝飾品として多く利用されていた金を、金融資産として再認識したのでした。そして、機関投資家もまた同様の認識を持ち、金融機関の監督における国際協力の推進を目的に設置されたバーゼル銀行監督委員会は、銀行が保有すべき自己資本の「中核的自己資本」として金を利用することを認めているのです。

ダウジョーンズによると、トルコの規制当局は、上限を55億リラ(29億ドル)の10%とし、既に現物金地金を昨年11月から「中核自己資本」として認めています。また、多くの取引市場や証券会社においても、商品取引や裁定取引ポジションの担保として金を利用することが認めてきています。先週金曜日には、ドイツ銀行がCMEが認可する金のカストーディアンのリストに加えられたことが伝えられていました。

金地金は、もちろん金利を生み出しません。しかし、ゼロ金利下においては、金は、中央銀行の金融政策によって規制されている資本市場より有利な位置にあるのです。金は、工業用として多くは利用されません。2011年までの5年間においては、工業用需要は、需要全体の11%となっています。このようなことからも、金の資産価値を保全する特殊な側面が明らかになります。現物資産であることから、金は信用及び破綻リスクを持つこともありません。

また、世界的に取引が行われていることから、その流動性は高く、価格も常に付けられています。金取引の世界の中心である、ロンドン貴金属市場協会の取引高は、1日当たり2400億ドルを越えています。これは、世界で最も取引されている4つの通貨の為替取引量を超えるものです。

さらに、産出量が限られていると共に、破壊できないことなどから、現在の通貨とは異なるのです。

決して遠い昔ではない二つの大戦前には、金は世界の通貨システムの中心であったのです。銀を利用していた中国以外の多くの国々は、金本位制、そして米ドル金為替本位制(ブレトンウッズ体制)を確立ていたために、第一次大戦から第二次大戦を通し、金備蓄量は外貨準備高をはるかに超える量であったのです。

戦後の金本位制(ブレトンウッズ体制)が終焉した10年後の今から30年前ですら、中央銀行の金備蓄量は、評価額において、外貨準備高の三倍であったのです。しかし、過去の10年を見てください。金投資は、資産保全するあらゆる投資商品を勝るリターンを上げています。そして、流通している通貨が、金と比較してその価値の85%を失っているのです。しかし、外貨準備として貯蔵されている通貨の量の多さから、その価値は金と同等のレベルとなっています。

金の価値の上昇は、作り出され、貯蔵される通貨の増大な量で埋められてしまったのです。1995年のレベルへ価値の比率を戻すためには、金の価値は2倍にならなければなりません。1980年代の平均値に戻すためには、その価値は15倍となる必要があるのです。もしくは、通貨がその価値を93%減らす必要があります。

このような傾向は、先のチャートやそのファンダメンタルにおいても見受けられません。米国ドルは外貨準備高で最も保有されている通貨です。それは、IMFのデータによると、外貨準備高総量の62%を占めています。これは、2001年に頂点であった71%からは下げていますが、1990年代に金と同等レベルであったことと比べると、はるかに高い比率です。そして、ファイナンシャルタイムズのコラムニストである、エコノミストのPhilip Cogganがその最新の著書で下記のように述べています。

「もし、英国が金本位制を確立し、米国がブレトンウッズ体制を1944年に確立したことを考えると、現在最大の債権国である中国が、過去の制度とは異なるものを確立することになると推測します。」

Coggan氏は、中国は唯一つの債権国ではないこと、また、第二次世界大戦後の米国の威勢にかなうものではないことは理解しています。しかし、このような制度変化が近い将来、もしくは10年後になったとしても、その可能性はゼロではないはずです。

多くの外貨準備高を形成する国債の破棄は、ギリシャの債務削減合意で始まることでしょう。そのため、恐らくまず米国ドルの外貨準備高に占める割合を高めることとなるでしょう。そして、これは紙幣を保有する最大のリスクを認識させることとなり、破綻もしくは平価の切り下げによる通貨価値を失う懸念が、既に中央銀行の金への需要を明らかに高めているのです。

*****************

資産保護のために金の購入をお考えですか。英国女王賞を受賞した、オンライン金取引において世界一の実績を持つブリオンボールトでは、日本のお客様にスイスでの金保管サービスを提供しています。

Adrian Ash, 04 Feb '12
Adrian Ashさんのユーザアバター
エィドリアン・アッシュは、ブリオンボールトのリサーチ主任として、市場分析ページ「Gold News」を編集しています。また、Forbeなどの主要金融分析サイトへ定期的に寄稿すると共に、BBCに市場専門家として定期的に出演しています。その市場分析は、英国のファイナンシャル・タイムズ、エコノミスト、米国のCNBC、Bloomberg、ドイツのDer Stern、FT Deutshland、イタリアのIl Sole 24 Ore、日本では日経新聞などの主要メディアでも頻繁に引用されています。

弊社現職に至る前には、一般投資家へ金融投資アドバイスを提供するロンドンでも有数な出版会社「Fleet Street Publication」の編集者を務め、2003年から2008年までは、英国の主要経済雑誌「The Daily Reckoning]のシティ・コレスポンダントを務めていました。