金価格上昇の背景にあるドル離れ - 27 May 2011

初心者にも分りやすい金のブログとして、ワールドゴールドカウンシル日韓地域代表豊島逸夫氏にも推薦されている、「はじめての金読本」で、金価格上昇の背景の一つであるドルへの不信を解説しています。

5月の連休に入った途端に荒れ始めた金相場でしたが、そろそろ1500ドルの水準が固まりつつあるように見えます。

さて、世界各国の中央銀行は、通常、外貨を保有しており、その総量を一般に外貨準備高と呼んでいます。なぜ中央銀行外貨を保有しているのかといえば、為替レートの急激な変動に対処するためであり、対外的な債務の返済や輸入代金の支払に充てるためです。

もうひとつ、大事なことをお話しておきますが、各国の中央銀行が保有する外貨の大半はドルになっています。理由は、国際的な決済には基軸通貨ドルが必要だからです。ところが、この10年間で、その外貨準備の構成比率に、ゆるやかな変化が見え始めているというのです。5月10日付の日本経済新聞朝刊の記事によれば、保有する外貨準備に占めるドルの割合は、10年前で7割強、しかし昨年末には6割強まで低下しているとのことです。

これはつまり、ドルの将来に対する不安から、ドル離れがゆっくり着実に進んでいるということです。この流れに拍車をかけたのが、2008年のリーマンショック新興国は、これまでのドル一極集中のリスクを回避すべく、ゆるやかな多通貨分散を図りつつあります。昨今、中央銀行の金準備増強が話題になっていますが、それも同じ文脈、リスク分散が背景にあります。

ところで、ドル離れは、先の日本経済新聞の記事のように国際通貨基金のデータでも確認できますが、もうひとつ、金価格とドル実効レート*1の比較から読み取ることもできます。

 

f:id:kuma-to-hachi:20110520095757j:image

 

1989年にベルリンの壁が崩壊して東西融合が始まり、東側諸国は西側の市場経済の仲間入りを果たしました。やがて1990年代後半にドル独り勝ちの状況が現出。金価格が歴史的な底値に沈んだのも、その時期です。そうしたトレンドが上のチャートにも明確に現れています。金価格の長期下落トレンドが底打ちするのが1999年9月、明らかな長期上昇トレンドに転じるのが2001年春です。

これは、ドルが強くなると金は弱くなる傾向があり、その反対にドルが弱くなると金が強くなるということです。専門的には「ドルと金の逆相関」と言われるものですが、ドルの価値と金価格は反対の値動きをする傾向にあります。次回はこの点についてもう少し考えてみたいと思います。

*1:為替市場における米ドルの動向を示すものです(1973年3月を100としています)。ここでは主要6通貨(ユーロポンド、円、カナダドルスエーデンクローネスイスフラン)に対するドルのレートを包括的に指数化したものを掲載しています。ただし、大きなトレンドを押さえておけば良いという観点から、月間のデータを使用しています。金価格とドルが逆の値動きをしていることが見て取れます。

*****************

金の購入をお考えですか。英国女王賞を受賞したオンライン金取引において世界一の実績を持つ、BullionVaultをお試しください。

経済アナリスト、そして金市場の第一人者の豊島逸夫氏にも推薦されている金のブログ「はじめての金読本」より。