金価格動向への影響がインドの新年の祝い(ディーワーリー)から中国の旧正月へ - 30 November 2010
金の需要がインドの新年の祝い(ディーワーリー)から中国の旧正月へと移行するとともに、金価格はピークを迎えます。
「世界で第二位の金購入国である中国の需要の伸びが、金投資家にとっての金価格の季節的動向パターンを変えつつあります。」とBullionVaultのエィドリアン・アッシュが述べています。
このペースで行くと、中国の一般投資家の需要は、ドイツの需要を遅くとも2014年に追い越すことでしょう。そしてこの年には、世界で最も人口密度の高いこの両国が、世界で販売される5オンスの金地金のうちの2オンスを購入していることでしょう。しかし、金の需要が東へと移行している傾向は、すでに世界の金価格に表れています。
収穫期後の結婚および収穫祭のシーズンにあわせて、インドの金需要は、11月初旬の新年の祝い(ディーワーリー:ヒンドゥー語で「光のフェスティバル」)時にピークを迎えます。それに対し、中国の一般家庭においては、中国の旧正月時(2011年は2月3日より)に金を大量に購入します。世界の需要が、インドのディワーリーから中国の旧正月へと移行する際に、金価格は年間のピークを迎えます。
ドル建て金価格平均の変化(%)
| 第四半期の平均 |
ディーワーリー期
(9月-11月) |
中国の旧正月期 (12月-2月) |
|
| 1968-1989 |
10.6 | 3.1 | 5.1 |
| 1990-2001 |
-0.6 | 0.9 | -1.5 |
| 1990-2001 | 7.6 | 6.3 | 8.2 |
| 2005-2010 | 6.7 | 6.1 | 10.4 |
出典元: BullionVault
新しいディーワーリーは、1968年に導入された厳しい規制(そのために拡張したブラックマーケット)後、1990年のインドの金価格及び小売の規制緩和によって始まりました。2001年まで続いた、世界における金の弱気市場の期間、9月から11月までのドル価格の平均は、潜在的な需要は低いながらも、その傾向を表しています。
中国政府は、国内金市場の規制緩和を10年前にはじめました。まず、2002年に宝飾品の規制が解かれました。そして、2005年には上海黄金交易所が開設されました。先の表で見られるように、ディーワーリーにおいては、それ以降の強気市場においても、平均した四半期毎の需要の変化は見受けられませんでした。それに対し、中国の旧正月および元宵節がある第4四半期時の需要の変化は明らかなものがあります。そして、インドの需要の伸びとの違いは、規制緩和以降広がっています。

現在の強気市場において、中国の一般庶民の役割は非常に大きなものがあるといえるでしょう。インドの一般庶民は、20世紀半ば、もしくはそれ以前から現時点に至るまでは、世界一の金の購入者であることにかわりありません。しかし、今年の7月から10月の間には、世界の16%の金の需要が中国の一般庶民ものとなり、先の表が表すように、中国の消費者は世界の金価格に、すでに大きな影響を持っているのです。
これを、別の角度から見ると、中国の貯蓄者は、2007年半ばに始まった金融危機以来、欧米諸国の投資家が金へと投資した量の約半分の金をすでに購入しているのです。確かに、中国の人口は、これらの国々よりも多いかもしれません。 しかし、そのGDPは、これらの国の平均と10分の1でしかないのです。
より顕著な点は、中国の消費家は中国の中央銀行である中国人民銀行が所有する金の総量と同量の金を過去2年半の間に購入したということです。実際、「中国人民銀行は人々が金を保有することを奨励しています。」とUBS貴金属ストラテジストのDr. Edel Tullyは、先週木曜日に行われたLBMAの貴金属市場セミナーで述べています。このようにして、中国はドルに影響を受けにくい金を国家予算を使うことなく、国内に備蓄することができるのです。また、金を購入するという消費活動は、インフレ率を押し上げることなく、中国政府が望まない生活費上昇を促すといった側面をも持ち備えていません。
この、国家を挙げての金購入においては、二つの目的を達成できます。それは、タイムリーに中国人民銀行が金購入の噂を流すなど、金価格への影響を持つこと、もしくは人民元の自由化の流れ、もしくはインフレ率の上昇を抑えるといった側面があります。 CNBCに先週語ったように、10年前の自由化以来、中国政府が強く奨励していることから、多くの個人資産が金として保有されています。1980年に鄧小平が「先に豊かになれる者から 豊かになれ」と述べたように、共産党政治局が個人資産を守っていることを示したのは、国民に前向きに受け止められたのです。
インドの中央銀行は同様に、昨年インド国民の金購入量が減った直後に、IMFから200トンの金を購入しました。
インドと中国の庶民は、伝統的な行事が行われる期間において、伝統や宗教的理由による社会的圧力から金を購入し、その需要はピークを迎えます。しかし、中国が金の購入において、インドを抜き世界一となるなど、富が西欧から極東へと移行する中、アジアの金現物を好む昔ながらの傾向は、欧米のアナリストにとっては、無骨なものと見えるかもしれません。

インドと中国の庶民は、宝飾品の購入を続けながらも、金貨や金地金を購入するというように、より効果的な投資方法へと変えつつあります。これによる、投機目的金購入が増加し、将来的な市場におけるボラティリティ(変動率)の増加を憂慮するかもしれません。しかし、インドの個人投資家向け金市場は、宝飾店が宝飾品を一般庶民から購入し、この利益によって他の投資を行うといった、二つのタイプ投資方法が長年存在していました。そのため、金が国外へ流出するといったことはありませんでした。しかし、2009年の第1四半期に、インドは大恐慌以来初めて、金の輸出国となったのです。
このようなことからも、今後の金相場への影響力は、さらに中国が強めていくことは明らかなのです。
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弊社現職に至る前には、一般投資家へ金融投資アドバイスを提供するロンドンでも有数な出版会社「Fleet Street Publication」の編集者を務め、2003年から2008年までは、英国の主要経済雑誌「The Daily Reckoning]のシティ・コレスポンダントを務めていました。









