銀の話 - 29 September 2010
スタンダードバンク東京支店長の池水雄一氏が「池水雄一のゴールドディーリングのすべて2」で、昨今の銀市場を解説しています
今週は銀の話を少し。最近いろんなセミナーで話をすると銀の質問をよく受けるようになりました。そして大手貴金属商からは、個人が銀のインゴット(一本 30kg)を買って、トラックや車に積んで持ってかえるといった話や商品取引員の方々からも、東工取で現引き(先物を買い、決済期日が来ても反対売買をせずに、全額払って現物を受けること)をするお客さんが増えているとのことを聞きます。先物を売り戻せば利益を確定できるのに、あえて現物を引き取るという方が多いそうです。シルバー人気、じわじわと広がっているのを感じます。

上のチャートはシルバーの過去40年の歴史的チャートです。1980年に過去最高の高値を記録しています。このチャートは四半期ベースでの長期チャートですが、瞬間的に一時55ドルまで銀価格は急騰しました。そのときの背景はハント兄弟の銀買占め事件という特殊な状況下にありました。アメリカ、テキサス州の石油王、ハント兄弟が、サウジアラビア王家の投資家と組んで世界中の銀を先物、現物にかかわらず真剣に買占めをしようとした事件です。(この事件に関しては、以前詳しく記述してますのでそちらをぜひ読んでください。)
それ以来長い間、銀は5ドル以下という時期が20年近く続きましたが、このところの上昇の勢いは強く、2010年9月末現在1980年以来のレベルである21ドル半ばまで上昇してきています。ゴールドが1980年の歴史的高値である850ドルを抜けたのが、2008年1月。そして現在連日のように高値更新で、1300ドルタッチまで上昇している金と比べると、確かに出遅れ感はあります。かのJim Rogersもこれからは銀であるといった趣旨の発言をしているというのもわかる気がします。ただ、それだけではありません。以下それも含めて現在、銀が上昇して来ている背景を箇条書きにしてみました。
・高値にもかかわらず堅調な実需 -フィルム需要の減退を補ってあまりある需要が非常に堅調。特に電子関係-太陽光発電などに使われる銀のペーストの需要が大きく、特に日本での電子関係実需が好調。現在日本が貴金属で輸入超になっているのは銀だけ。金、プラチナ、パラジウムは輸出超。日本は銀インゴットを輸入し、それをペーストのような付加価値製品にして輸出している。
・中国からの銀売却の減少 - 中国は近年大きな銀の売り手であったが、経済発展による工業需要の急増で、国内で消費されており、銀輸出は激減している。
・投資資金の流入 - 特に欧米における銀投資人気の静かな盛り上がり。2008年春時点での金銀比価は50:1であったのが、現在は61:1 であり、シルバーはまだ割安に見える。
金・銀レシオグラフ
・ゴールドが歴史的高値を更新するレベルにあるのに比べて、シルバーは上がったとはいえ、歴史的高値からはまだ半分の状態。これにJim Rogersなど投資家が注目している。
・最近は銀の現物(30kgのインゴット)を買い付ける投資家も目だってきている。特に昔から米国の投資家は銀選好が強い。
・Silver ETFの残高は史上最高値を更新し続けている。現在は13万259トン。これは一年の鉱山生産量22万トンの半分以上の数字になる。
・2009年の投資は前年比2.8倍。
・銀は工業用需要が大きく、景気に連動しやすいが、投資家の数も多く、ゴールドに追随しやすく、ゴールドとPGMの両方の特徴を持つ。

・株価に敏感ながらも、ゴールドが強い以上シルバーも簡単には下がらない。実需&投資の両面で需要が大きく、今後シルバーはさらなる高値を目指す可能性が大きい。
以上
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貴金属ディーリングの世界でも第一人者である池水氏は、上智大学を卒業後、住友商事、クレディ・スイス、三井物産、スタンダードバンクと貴金属ディーリングに一貫して従事し、現在はスタンダードバンク東京支店長。Oval Next Corp.サイトで市場分析ブルース(池水氏のディーラー名)レポートも掲載。









