2011年第3四半期の金需要を読む - 3 December 2011

初心者にも分りやすい金のブログとして、元ワールドゴールドカウンシル日韓地域代表豊島逸夫氏にも推薦されている「はじめての金読本」において、先頃発表された金の需給レポートの情報を元にその動向が解説されています。

世界的にリスク回避の動きが顕著になっています。とくに今回、民間銀行が保有するギリシャ国債の債権を一部放棄するに当たって、CDS(不測時の保険)は支払われないという見解が関係者から発表されたことが危機をいちだんと後押ししているのだとか。国債不安が銀行不安へと波及しかねない状態です。

さて、今回は、そうした危機を眺めつつ、先頃発表された直近の金需要動向を紹介しましょう。

2011年第3四半期の金需要は、前年同期991.1トンから今期1,053.9トンへ、6%増加しています。6%というと僅かなもののように思えるかも知れませんが、同期間の金価格水準が、1227ドルから1702ドルへ39%上昇した環境下での増加は特筆に値します。きわめて強い需要が存在していたといって良いでしょう。

個別の需要を見てみましょう。

需要の最大項目である宝飾は、前年同期518.9トンから今期465.6トンへ10%減少しています。インドの需要減少が決定的に響いたようです。そこに中東地域の需要減少が追い打ちをかけた格好です。

宝飾需要が減少したのに対して、金投資需要は前年同期352トンに対して468トンへ、33%の大幅増加。いまや需要の最大項目となった金投資需要ですが、その内訳は以下の通り、現物需要が圧倒的となっています。

→地金・金貨などの現物需要 390.5トン

ETFおよび類似商品     77.6トン

金投資需要の注目地域を見ると、次の通り。

インド 78.0トン(前年同期比 ー18%)

中国 60.2トン(前年同期比 +26%)

ドイツ 59.3トン(前年同期比 +146%)

スイス 37.2トン(前年同期比 +83%)

中国の堅調に比べ、インドの需要低迷が気になります。これは引き続きウォッチ対象です。一方、金融システムが堅牢と考えられているドイツスイスの金現物需要が拡大していることからも、現在の欧州債務不安の深刻さが伺えます。

総じて、現在の金投資需要拡大の背景は

◎世界的なインフレ率の上昇傾向

米国債の格下げ

ユーロ圏で続く債務危機

◎他の多くの資産の目減り

こうした環境から、富を守ろうするつ動きが金現物購入意欲を駆り立てているということです。いずれも一朝一夕で片付く問題ではありませんから、金投資需要はとうぶん堅調に続くと見るのが妥当でしょう。

なお、一方の供給の動向は以下の通り。

鉱山生産は711トンから746トンへ前年同期比5%の増加。金価格上昇を背景に増産傾向が定着してきました。もうひとつの注目ポイントであるリサイクル供給も、この一年の金価格急騰を受けて、前年同期379トンから427トンへ、13%もの増加をしています。

1990年代の金価格長期低迷の要因のひとつとなった鉱山会社の新規ヘッジ売りが現れてきました。第1四半期6トン、第2四半期6トン、第3四半期10トン。鉱山会社が金価格に天井感を抱き始めると、この項目の数字が確実に上がっていくと思われますから、年間で100トンを越えて来ると要注意かも知れません。まだまだ予兆の段階に過ぎませんが、長期的に注目です。

今回はここまで。では、また来週お会いしましょう。

(需給データ出典)Thomson Reuters GFMS and World Gold Council

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経済アナリスト、そして金市場の第一人者の豊島逸夫氏にも推薦されている金のブログ「はじめての金読本」より。