2012年金相場における3つのリスク要因 - 25 January 2012
金の強気市場が終わるのはいつなのでしょうか。
金融危機は、金市場にとっては追い風でした。とブリオンボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュは、ここでその背景とリスク要因を解説しています。金の長く続く強気市場は、その投資家に眠れない夜を与えることは少なかったかもしれません。そのため、2011年に起こった20%の価格の下げは、投資家が再び市場を注視せざるを得なくしたことでしょう。
今週行われた、トムソン・ロイターGFMSの最新金需給レポートのプレゼンテーションで、「金価格は、今年後半から来年前半にピークを迎えると思います。」とリサーチディレクターのNeil Meader氏が語っています。
それでは、金価格が下落するきっかけは何なのでしょうか。
トムソン・ロイターGFMSは、「構造的な不均衡や通貨価値に影響を及ぼす問題を市場へ示唆するものは既に過去のものとなり、現在は、それによる金融危機の状況を越えつつあるのです。」と、今週火曜日ニューヨークで行われた先のプレゼンテーション後にTheStreetへ答えています。
金の強気市場を止めるリスク要因がどのようなものであろうとも、金投資家は、トムソン・ロイターGFMSのような市場調査会社が、このような分析を提供することを喜ぶべきでしょう。それは、強気市場が終わるのと同様に、このような状況を熟考するのは、時として必要であるためです。

Neil Meader氏は、「金利の上昇は、明かなきっかけとなることでしょう。金投資にとっては、低金利が有効なのです。」と述べています。
もちろん、2012年に金利が上昇する可能性は、現在の金利と同レベル、つまりはゼロの確率と考えられるでしょう。例え貸し出し費用や預金の収益率が、ゼロではなかったとしても、インフレを考慮した場合、現在の実質金利はゼロといえるでしょう。ブリオンボールトにおける市場分析では度々述べることですが、下記の表からも分るように、金の需要にはこの実質金利による影響力が大きいのです。
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インフレ率考慮後の 10年物T-Bondの平均利回り(%) |
インフレ率考慮後の ドル建て金価格の実質的変化 |
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| 1970-1980 | 0.41 |
プラス 806% |
| 1980-1990 | 5.03 | マイナス 61% |
| 1990-2000 | 3.57 | マイナス 47% |
| 2000-現在 | 1.66 | プラス 303% |
世界の貯蓄者が、インフレ時、預金が収入を生み出さない時に、銀行破たんリスクを持たない、破壊できない金現物を好むことを、単なる本能的なものと決めつけることを避けなければなりません。ここで、先のチャートが示すように、金価格はドル建てに限らず、世界金指数においても、過去10年間に上昇しているのです。
ブリオンボールトの世界金指数は、世界の主要通貨である10の通貨をその発行国の経済規模に応じて加重計算したものです。そのため、米国ドルが第一の通貨で、ユーロがそれに続き、中国人民元、日本円、英国ポンドと続きます。世界金指数は、過去10年間に5倍となっています。これは、1990年代にアメリカの代表的な株価指数であるS&P指数が急騰したようにです。しかし、金はこの間に5倍にはなっていないのです。
歴史的に見ても、金の強気市場は永遠に続くものではありません。トムソン・ロイターGFMSは、金価格はいずれその動向を変えることでしょうと述べています。この金価格の下落が、2012年、2013年、もしくはそれ以降に起こるとしても、金融危機が終焉し、平常と呼ばれる日々に戻った時、次の3つの点は、金所有者に眠れぬ夜を与えることとなるでしょう。
1. 欧州
金は、破綻もしくは平価切下げが起こった際の保険の機能を果たします。それは、人工的に作り出すことができず、破壊することができず、そして(特定保管などで所有権を直接保有していれば)カウンターパーティーリスクも持たないためです。短期においては、信用収縮により、流動性の高いドルが買われ、金先物を含む派生商品などの市場から流動性が消えうせることもあるでしょう。これは、2008年のリーマンブラザーズ破綻後や2011年後半の欧州における信用収縮が、MF Globalを破綻させた際に、米国の金先物の投機的ポジションが半減したようなケースです。これらは、例え金地金や金貨の需要が政治的また経済的要因で増加していたとしても、短期においては金価格を下げる要因となることを実証しました。
2. 中国
この国の需要は、金価格に影響力があります。年々その需要量は増加し、インドの総需要量に迫っていますが、2012年も需要国第二位の位置に留まることとなりそうです。この国においては、欧米の投資家の傾向とは異なり、金への需要は、国内の経済成長と正の相関関係があることが明らかとなっています。しかし、信用の収縮や経済のハードランディングが、金の需要が急激に増加している国にどのような影響を及ぼすかは、誰も知りえないのです。そうであっても、信用の収縮と収入増加が停滞することは、2008年から2009年の中国政府の反応を参考にしても、金価格へは良い影響を及ぼさないであろうということは推測できることです。
3. ボラティリティー
2011年がそうであったように、金価格のボラティリティーは、米国株式のボラティリティーには劣ります。しかし、これは投資家に安心を与えるには十分ではないでしょう。金の現物を所有することは、価格変動リスクを除くものではありませんが、法的には信用リスクから逃れられうことを意味します。しかし、金融商品と比べれば、この利点は大きなものがあるはずです。金融危機の嵐から富を守るために金を保有した場合はどうなのでしょうか。世界一の金需要国であるインドにおいては、ボラティリティーの高さにより、需要が減少したことが明らかになっています。この国では、2011年には、年末3ヶ月のボラティリティーの高さから、輸入は重量において8%下げることとなりました。更に、当然明白なリスクもあります。それは、2001年以来毎年上げ続けている金価格ですが、最近のボラティリティーの高さが、欧米の投資家が金への投資を行うことを思いとどまらせるものとなるかもしれないということです。金は、本来どのような状況下においても利用できる安全資産である考えられていますが、過去5年間にその価格を3倍としたものの、2011年後半はその位置づけを揺らがせるものでした。
先のようなものが、金相場のリスク要因と考えられます。おそらく、今後近い将来に新たな要因は現れてくることでしょう。しかし、貯蓄者への恩恵となる金利の急騰は、近い将来に起こることがないことは確かと言えることでしょう。
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資産保護のために金の購入をお考えですか。ロンドン貴金属市場協会(LBMA)の正会員であり、英国女王賞を受賞した、オンライン金取引において世界一の実績を持つブリオンボールトでは、日本のお客様にスイスでの金保管サービスを提供しています。
弊社現職に至る前には、一般投資家へ金融投資アドバイスを提供するロンドンでも有数な出版会社「Fleet Street Publication」の編集者を務め、2003年から2008年までは、英国の主要経済雑誌「The Daily Reckoning]のシティ・コレスポンダントを務めていました。








