2012年金相場予想 - 16 December 2011
スタンダードバンク東京支店長池水雄一氏が、「池水雄一のゴールドディーリングのすべて2」で、年末を間近に控え、今年の金市場の動きを解説した上で、来年2012年の金相場の予測を行っています。
今週は年末モードで金相場の予想などを。先のことは誰にもわからないといってしまえばそれまで。当たらないまでもとりあえずありそうな可能性を考えると以下のごとくとなります。

2011年は1400ドルから相場が始まった。中東・北アフリカで民主要求デモの緊張からゴールドは強基調、3月の日本の震災も挟み、欧州のソブリンリ スクが市場の関心の的となり、それが深刻な状況になればなるほど、ゴールドには退避資金が流入し、ほぼ一本調子に上がり続け、8月と9月にはまさにクライ マックス的な勢いで上昇、8月には1630ドルから1830ドルまで200ドルの急騰、9月前半には1920ドルに達しこれが史上最高値となった。
しかし、この時点で投資家のゴールド買い持ちポジションは過去最大までに膨らんでおり、米国FOMCによる実質的にはさらなる金融緩和の額が大きくなる わけではないツイストオペレーションに対する失望感をきっかけとし、さらに切迫した欧州の状況も手伝って、いわゆる「キャッシュ化」の動きがすべての商品を襲った。ゴールドも例外とはならず大きな投資家のロングの売り戻しにあい、相場は1920ドルの歴史的高値から売り込まれ9月26日には、金市場始まって以来の大急落を演じ、1670ドルから一時1530ドル台まで売られ、すぐに1630ドルまで戻すといった過去前例のない激しいマーケットになった。
この動きはあまりにも膨らんでいた投資家ポジションという内部要因により引き起こされたゴールドのみならずほぼ全商品にわたるウォッシュアウト的な動きであったと言ってよいだろう。売りが売りを呼ぶいわゆる雪玉効果である。1500ドル台はほんの一瞬のオーバーシュート(やりすぎ!)であり、その後は1600ドル台から1700ドルへと戻し、1800ドルは越えられず、12月前半現在は1700ドル近辺での動きとなっている。
まず注目点は、9月からの調整局面において、Gold ETFと中央銀行という二大長期的投資家と呼べるセクターがしっかりと買いを入れていることである。Gold ETFは年初のゴールド持ち高が2185トン、11月末現在で2351トンと166トンの増加。そして中央銀行はIMFの統計から出てくる数字だけで10月単月で25.7トン購入しており、その内訳はロシア19.5トン、カザフスタン3.2トン、コロンビア1.2トン、ベラルーシ1トン、メキシコが0.9 トン。まさに新興国がゴールド買いに走っている。中央銀行は過去、欧州を中心として圧倒的な売り手として存在していたのだが、ここ数年彼らは売却をほぼ中止。代わって新興国がゴールドの買い手として脚光を浴びている。
長期的保有を目的としてゴールドを購入するこれらの動きはゴールドの底値を支える。そして何よりもゴールドを囲むマクロ経済の危機的状況 - 欧州のソブリンリスクと米国の債務状況はなんら改善の兆しは見えない。各国の中央銀行は金融緩和の手を緩めると景気のさらなる悪化が目に見えている今、金融緩和をやめるわけにはいかない。FRBは2013年半ばまでの低金利の維持をはっきりとうたっている。世界の資金流動性が増えれば増えるほどその資金がゴールドに向かい、ゴールドは上昇してきている。FRBの低金利維持宣言はいわばゴールドにとっては上昇への免罪符といえるであろう。
以上から、2012年はゴールドは再び歴史的高値を塗り替える年になるのではと予想する。高値のめどは2200ドル。これは1980年に記録した850 ドルを現在のインフレ率で計算しなおした数字であり、ここまでは過去つけたことがあるという数字である。その上はもはや青天井であり、予想することの意味はあまりない。ただ絶対値が大きいだけに動きも大きく、その上に変動率も大きくなっていることから200ドルから300ドルの上下の価格の動きは覚悟する必要があるだろう。
以上
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貴金属ディーリングの世界でも第一人者である池水氏は、上智大学を卒業後、住友商事、クレディ・スイス、三井物産、スタンダードバンクと貴金属ディーリングに一貫して従事し、現在はスタンダードバンク東京支店長。Oval Next Corp.サイトで市場分析ブルース(池水氏のディーラー名)レポートも掲載。








