GFMS Interim Silver Market Review - 25 November 2010

銀価格が今月に入り過去30年来の最高値を記録し、銀需要の著しい伸びが見られる中、先週GFMS(英国金属調査会社)から発表された銀市場中間レポートの要旨を、スタンダードバンク東京支店長の池水雄一氏が、「池水雄一のゴールドディーリングのすべて2」でまとめています。

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今週は先日発表されたGFMSのシルバーの中間レビューをみてみよう。

これはニューヨークのSilver Instituteのディナーの席で発表されたもので、2010年のシルバーの需給の現在時点での予想と来年2011年の需給および価格の動きの見通しである。ざっくりと読んで、一言でまとめると銀について非常に「強気」である。

以下、その要旨である。

「供給」

・2010年の総供給量は5%の伸びを予想。その大部分は鉱山生産とスクラップの売り戻しの増加によるが、公的機関の売却も控えめながら増えている。

・鉱山生産は740トン増えて約3%の増加。主にメキシコ、アルゼンチン、チリ、オーストラリアが増加した地域。逆に減少したのはペルーで5%の減少。世界的には銀鉱山の生産は3%の伸び。金と鉛、錫はより増加しており、銅はもう少し少ない銀の生産となりそうである。

・スクラップの供給は10%と大きく伸びることに。工業分野および宝飾分野からのリサイクルが主な供給源。

・公的機関の売却は昨年比大きく伸びそうである。その主な原因はCISの国々の売却。しかしながら、過去10年の平均を考えるとその水準はまだ低いものである。

「需要」

・総需要は10%もの増加になりそう。ただし2008年と比べるとまだ4%低いレベルではあるが。2011年も堅調な伸びが期待されており、2008年の記録的レベルにまで回復することが期待される。

・工業用需要は2010年は18%もの大幅な伸びが見込まれている。これは戻ってきた基本的な需要と、昨年意識的に減らされていた在庫を埋め合わすという動きが顕著となったためである。しかしこの動きをもってしても2008年のレベルからは部分的な回復にとどまっている。世界のGDPの伸びの減速と在庫の積み増し終了から、太陽光電池とoxide catalyst分野での大きな伸びをしても、来年の需要の伸びは、リーマンショック以前のレベルには到底到達できないであろう。

・宝飾需要は3%の伸び。高価になりすぎた金に対する代替需要が生まれており、2011年も穏やかな伸びが期待でき、過去5年では最高の需要になりそうである。

・銀器需要は今年は13%の下落。価格高騰でインドの需要が減ったため。

・写真需要はそのデジタル化による構造的需要減が続き11%の需要減となり、来年もこの傾向は続く見込み。

・コイン需要は23%の増加。これはGFMSがデータを取り出してから最大の数字である。

・生産者のヘッジは現在、若干買い戻しが多いので、需要サイドにカウントされているが、非常に微々たるもの。

「投資」

・投資需要(コインやメダルを含む)は高いレベルにある。2010年は市場最高のレベルであり、6500トンを超えている。2011年もさらにこれを上回る需要が予想される。

・2010年前半の投資需要は世界の経済成長とそれによる産業用メタルの需要により大きく伸びた。また5月と6月にはヨーロッパの国家負債の問題からの避難的買いが投資需要を盛り上げた。

・夏の閑散相場の後にも投資需要は一段と伸びることになった。FRBのQEによるさらなる金融緩和への動きが、米ドルの価値を下げ、将来のインフレへの恐れを現実的なものとしてさらなる投資家の買いを呼んだ。また銀の歴史的高値である1980年の50ドルと比べるとまだ割安感が高く、金の上げと呼応して、より上昇の余裕の大きいメタルとして注目を浴びた。

「価格」

・1月から10月までの銀のLondon Fixingの平均は$18.61で、昨年同期比32%の上げである。しかし11月の28.55ドルまでの上げは含んでおらず、この数字で年初からの上昇は66%になる。

・この価格上昇の主な要因はやはり投資で、GFMSの見方では、投資需要が、ファンダメンタルの均衡価格を大きく超えた価格を実現させたとということである。

・銀のファンダメンタルな需要(投資需要を除く)は、産業需要の伸びのため来年も増加することが期待される。しかしながら、これは鉱山生産の増加によって吸収される量である。これは弱気要因のように見えるが、投資需要がその生産増加分もすべて飲み込むであろうとGFMSは考える。超低金利、ドル安、上昇基調を続ける金相場が支援材料となり、銀の価格をより上昇させることになろう。

・現在、年末の調整が大きくはいっているが、GFMSは来年は銀価格は30ドルを超えると考えている。しかしながら、30ドルを超えるようなレベルが年間を通じて維持できるかは疑問で、年間の平均は28ドルという見方をしている。ただ30ドルを維持できなかったとしても、それがここ数年の銀相場の上昇の終わりを示すとは限らないと考える。

以上

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池水雄一, 25 Nov '10
池水雄一さんのユーザアバター

貴金属ディーリングの世界でも第一人者である池水氏は、上智大学を卒業後、住友商事、クレディ・スイス、三井物産、スタンダードバンクと貴金属ディーリングに一貫して従事し、現在はスタンダードバンク東京支店長。Oval Next Corp.サイトで市場分析ブルース(池水氏のディーラー名)レポートも掲載。