Wash out 歴史的急落2011 9/23 -26 - 28 September 2011
スタンダードバンク東京支店長の池水雄一氏が「池水雄一のゴールドディーリングのすべて2」で先週金曜日から今週月曜日に起きた、金および銀価格急落の背景を解説しています。
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今週は目の前の相場について。また歴史的な一週間になりました。それも日本の休日を挟んで。きっかけと呼べるのは、FOMCの会見。ツイストオペレーショ ンが予想通りでマーケットの失望を誘ったことくらいでしょうか。我々が日本にいて感じている以上におそらく欧米の投資家の不安心理は大きいものなのでしょ う。9/22に恐怖指数は急騰、40を越えて高止まり状態。

1800ドル前後で行ったり来たりしていたゴールドは、これをきっかけに下げを開始。先週木曜日9/22日から売りが強くなり、9/23日金曜日には欧 州で1700ドルを割り込みました。ちょうど一ヶ月前の急落時の下値が1702ドルで、そこから1900ドルまで一気に折り返したことから、今回も下げて も1700ドルと見ていましたが、今回はそんなところではとまりませんでした。

多くの人がおそらく僕と同じように考えていたのでしょう。1700ドルを切ってからは売りが売りを呼ぶ展開。まさにSnow Ball effectとなり、ゴールドのみならず、手元の資産、cash化できるものはすべてcashへ、という究極のパニック売りへとつながりました。ほかの貴 金属もベースメタルも、原油も、ユーロも、株もありとあらゆるものが大きく売り込まれたのです。
金曜日9/23(日本の休日!)は1630ドルまで下げ、翌月曜日9/26もこの「売れるものはすべて売り」の動きは続きました。ゴールドは夕方には 1530ドル台、シルバーはなんと26.10ドルまで下げ、金曜日につづいてパニック売りが続きました。山高ければ谷深しといいますが、登りに比べて急峻 すぎですね。買いはじわじわ多くの投資家が買っていってポジションが膨らんでいくのですが、売りはそれがまとまっていっぺんに出てくるのですね。ゴールド の価格レベル自体が過去最高レベルに達しており、つまり、ロングの数量も過去例をみないほど大きくなっていたということになります。それが一度に噴出した ために売りが売りをよぶ展開になったのだろうとは推測できますが、それがこんなに大きなものになるとはまったくの予想外でした。特に大きくなったのはシルバー。すべての商品の中でも最大の下げを演じています。(37ドル半ばから一時26.10ドルまで急落!)下のチャートはこの一週間の商品先物のパフォーマンスチャートです。圧倒的に赤が多く(つまり下げた商品)、その最たるものがシルバーです。ちなみに今年に入ってからのパフォーマンスを見ると(二つめ チャート)、シルバーは年初来でみてももはやマイナス。になってしまいました。ゴールドはまだ12%アップです。そして今年一番買われているのは米国債30年ものであるということがわかります。不安心理の端的な表れといえますね。


アジアの夕方に1530ドル、26.11ドルの下値をつけたあと、ロンドンでは急速な買戻しが入り、ゴールド1630 / シルバー30ドルまで上昇。まさにパニックの売りから、株価が戻し、それに伴い売り込まれすぎた商品が買い戻されました。このアジアの朝からの大きな動き に比べると、この日のニューヨークは比較的冷静。結局ゴールドは1630ドル、シルバーは30.70まで戻して一日が終わりました。
金曜日の急落時のComexの数字をみてみると興味深いことがわかります。
・125ドルもの価格急落にも関わらず、建て玉(Open Interest)は6342枚減っただけ。(建玉算:483,246枚)
・取引高(Volume)は380,000枚と過去一年の平均を85%上回る大きなものであった。一日の取引高の建て玉に対する割合は78.5%であった。
・この78.5%というデイトレード率は、今年で5番目。であり、年間平均の1.5倍の量である。この5日のうち4日がいわゆる「wash out」が起こった日である。
・そしてこのwash outの4日、その後10日間以内に平均3.6%上昇しています。このような大きな出来高を伴うwash outがあった日には、弱いロングが市場を離脱し、長期的投資家の買いが入ってくる機会になっていると言えるでしょう。
75%以上のdaily Trade率(Churnとよばれています。)の日とその10日後の価格を比べると以下のようになります。

ということは今回のwash outのあとも上昇する確率が高いと考えることができると思われます。
外的環境は何も変わっていません。今回のwash out予想を大きく上回る非常に大きな動きでしたが、これでゴールドが本格的な下げトレンドに変わったかというと、そんなことはないと考えます。我々の想 像以上に大きなロングがつみあがっており、そこに不安心理が蔓延して、とりあえず売れるうちに売れるものを売る、といった群集心理でまさに売りが売りをよ ぶという転げ落ちる雪玉が膨らんで行ったのですね。こういったパニックはあくまで短期的なもの。パニックがずっと続くをいう例は過去ありません。たいてい 一日、長くても二日でマーケットはある程度の冷静さを取り戻します。そこからが本来の動きへの回帰になるでしょう。ただし、今回の急落でけがをした投資家 は多数おり、彼らが本格的に戻って来るのは時間がかかりそうです。年内は1500-1900ドルといったレンジを予想。2000ドルは2012年に持ち越 しになるでしょうか。ヨーロッパの不安、アメリカの不安、まったく解消されていません。かえってその不安が大きくなったからこそ、根こそぎ売られるような こんな状況になったのです。しかしマーケットが冷静に戻ると必ず見直しの買いが入ってくるという状況にあると思います。これまでよりは時間がかかってもま たじわりゴールドは上昇していくと思います。ただし、変動率は非常に大きくなっているので、一日に100ドルといった動きを覚悟しておく必要はあるでしょ うね。ゴールドはやはりbuy and forgetが一番よいのかもしれません。
以上
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貴金属ディーリングの世界でも第一人者である池水氏は、上智大学を卒業後、住友商事、クレディ・スイス、三井物産、スタンダードバンクと貴金属ディーリングに一貫して従事し、現在はスタンダードバンク東京支店長。Oval Next Corp.サイトで市場分析ブルース(池水氏のディーラー名)レポートも掲載。









