World Gold Council - Gold Demand Trends 2010を読む - 24 February 2011

スタンダードバンク東京支店長池水雄一氏が「池水雄一のゴールドディーリングのすべて2」において、先週17日に発表した、ワールド・ゴールド・カウンシルの「Gold Demand Trends 2010(2010年の金需要の傾向)」の最新レポートを分析しています。

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先週WGCよりGold Demand Trends Full Year 2010が発表されました。これは文字通り2010年の金需要の概要をまとめたものです。時間があって英語があまり苦でない人にはぜひ原文を読んで見るこ とをおすすめします。以下のサイトからダウンロードできます。↓

http://www.gold.org/world_of_gold/market_intelligence/gold_demand/gold_demand_trends/

今週はその要点だけをみてみたいと思います。 2010年はゴールドにとって特別な年となった。すべての分野で需要は強く、年間の総需要は9%の伸びを示し3812.2トンとなり、価格にして 1500億ドルに達した。この増加の要因として挙げられるのは高レベルの宝飾需要で、インドの需要の復活、伸び続ける中国の需要、そして21年ぶり売り手 から買い手にまわり、まさにパラダイムシフトとなった中央銀行の存在である。(ちなみに21年前1989年は日本が天皇金貨のために金を買った年です。)



「宝飾需要」

2010年の宝飾需要は最も力強く反発した分野であった。年間を通じての需要は299トンで前年比17%の増加。インドの宝飾需要は69%増加の746トンと非常に大きく伸び、中国も過去最高の400トンとなった。 アジアの需要家、特に中国とインド両国で2010年の世界の宝飾、コイン、地金需要の51%を占めている。中国はその経済成長の好調さから需要が伸びる ことが期待されていたが、インドはルピー建てゴールドの高値にもかかわらず、価格が少しでも下がったところでは旺盛な買いがみられた。

「中央銀行」

中央銀行は21年ぶりに売り手から若干の買い手にまわった。先進国が金の売却をやめて、新興国が金を買うというこの流れは今後も続くと予想される。

「ETF」

ゴールドETFおよびその類似金融商品は338トンの需要で、2009年にくらべて45%もの減少。しかし、2009年があまりに強かったのであるが、2010年のはそれでも史上二番目の量である。2010年年末のETF残高は2175トンであった。



「今後の見通し」

2011年の始まりはまさに「東西の分断」という言葉がぴったりである。1月にはゴールド価格が6%下落し、西側世界の投資家筋の損切り売り(ETFや Comexのロングポジションの減少)に対して、アジアからの非常に大きな実需買いが入り、この結果アジアの各地では現物のプレミアムが大きく上昇した。 ゴールドをインフレや金融危機のようなリスクヘッジにおける基本資産としての投資需要は減ることはないであろう。世界的な景気回復がはっきりしない状況 とインフレの圧力、そして通貨の抱える問題がこういった投資需要を後押しする。ヨーロッパでのゴールドバーおよびコインの需要は、ヨーロッパ各国の政府が 抱える財務問題を抜きにしては考えられない。また中国でもゴールドバーに対する投資需要は強い状態が続くであろう。2010年に中国工商銀行とワールド ゴールドカウンシルによって始められた純金積立のようなゴールド投資商品が今後さらにその需要を盛り上げていくことが予想される。またゴールドは歴史的に 金融市場の一部であり、最近の動きとしてJP Morgan のような金融機関が、ゴールドを担保として認める動きが出てきていることも注目にあたいしよう。

最近の価格の下落は、昨年買うチャンスを逃した人にとって絶好の機会を提供したということになる。 ゴールドの供給サイドは、鉱山生産は過去10年にわたる探索と鉱山プロジェクトの成果がでてきて増加が期待されるが、公的機関(中央銀行)からの売却の減少、安定したリサイクルの流れを勘案すると供給の伸びは控えめなものになると思われる。

以上

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池水雄一, 24 Feb '11
池水雄一さんのユーザアバター

貴金属ディーリングの世界でも第一人者である池水氏は、上智大学を卒業後、住友商事、クレディ・スイス、三井物産、スタンダードバンクと貴金属ディーリングに一貫して従事し、現在はスタンダードバンク東京支店長。Oval Next Corp.サイトで市場分析ブルース(池水氏のディーラー名)レポートも掲載。